兼題「鵜飼」__金曜俳句への投句一覧
(6月28日号掲載=5月31日締切)
2024年6月11日5:26PM|カテゴリー:櫂未知子の金曜俳句|admin
鵜飼は『万葉集』などにもみられ、古くから各地で行なわれてきました。岐阜の長良川が有名ですよね。兼題一つでの募集は初めてです。
さて、どんな句が寄せられたでしょうか。
選句結果と選評は『週刊金曜日』2024年6月28日号に掲載します。
どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。
【鵜飼】
しなやかに手綱操る女鵜匠
はらはらと火影に潜る鵜の涙
碧い目の鵜匠ジョージと名乗りけり
地球の絵の具で描く鵜飼火よ
浅瀬擦る舟の動きて鵜飼宴
首繋ぐ鵜飼の紐の影およぐ
疲れ鵜の白眼に炎ひらめけり
鵜飼了へ暫く闇の生臭き
鵜篝のはげしさ首結のゆるさ
風止みて鵜篝灯り始めけり
蹲み込み鵜匠のをんな鵜と話す
火の粉とぶ鵜飼開きの篝かな
ぼんやりと鵜飼の後の帰り道
一羽づつ癖をさばける鵜匠かな
黎明の山水分けて鵜飼舟
鵜飼の鵜眺めて料理楽しきか
火の粉舞ふ手縄操る鵜飼かな
鵜飼舟十の手縄(たなわ)を捌く腕
千年の轍を下る鵜舟かな
ロボットの鵜飼あるらむ近未来
鵜飼より傷ひとつない魚を吐く
蓑と味千年閲し鵜飼かな
疲れ鵜の朝まで続く性行為
見れよかし岐阜は鵜飼の国なるぞ
篝火を立て鵜飼部(べ)の裔の舟
火影揺れ鵺ゐる如き鵜飼かな
政治家も鵜飼まねたり女子頼み
篝火に女鵜匠のネイルかな
鵜飼には武士の姿の者も来て
遠くにも見ゆる篝火鵜舟かな
鵜飼では誰も喋らぬもの食はぬ
鵜飼への希望が見える明かりかな
篝火の烏帽子の鵜匠統べる闇
鵜篝の羽虫焼きつつ進みけり
鵜飼前鵜飼クイズが行はれ
長良川鵜飼の朝の眠りかな
生まれたて鵜匠を親と思ふかな
潜るにははずみをつけて鵜飼の鵜
踊る火の水面明るき鵜飼かな
篝火の灯のなほ暗き鵜飼かな
伝統を絶やしてならぬ鵜匠へと
鵜匠の手縄操る技巧み
疲れ鵜の疲れを見せぬ矜持なり
資本主義鵜飼に示す奴隷制
BLは鵜飼と魚攻めと受け
篝火や影絵の如く鵜飼船
十二羽の荒鵜あやつる縄さばき
千鳥橋くぐり鵜飼の始まれり
八十路生きいま今生の鵜飼かな
託されて潜る若鵜の十羽ほど
鵜飼の鵜つるりと吐いた瓢箪から駒
ほうほうほう鵜舟六艘総がらみ
鵜飼の灯背中の孫は興味なし
追込みやクライマックスで鵜飼果て
篝火や鵜飼の細い目に光
鵜匠との息ぴったりに鵜が泳ぐ
鵜篝や道三と酒酌み交し
鵜飼の灯まだまだ遊び足りなくて
潜りては夜の川早し鵜飼かな
疲れ鵜に目を逸らしたる専務かな
鵜と鵜匠縄より心繋がりし
襟足に産毛の女鵜匠かな
鵜飼火や一歩も退かぬ恋仇
千年の鵜飼の焔揺らす風
折詰の鵜舟待つ間の鮎弁当
首を持つ鵜匠は指を許されて
船の父暑き日の海鮎獲れる(ふねのちちあつきひのうみあゆとれる)
訳ありの人混じりたる鵜飼かな
疲れ鵜の立たされてゐる舟のへり
長良川までの逢瀬を鵜飼かな
うしろ手に鵜飼綱もちほくそ笑む
鵜飼船岐阜市の誇り学ぶ小5(うかいぶねぎふしのほこりまなぶしょうご)
騙されて不信募りし鵜飼かな
妻の飼ふ男の稼業鵜飼なり
鵜篝の照らす水面のしづけさよ
嘴の曲がり鋭き鵜飼の鵜
水濁り闇ととのはず鵜飼舟
「Iターンです」鵜飼見習若し
鮎はねる鵜舟六隻総がらみ
まるで寅さん映画のやうな鵜飼
鵜飼舟万葉の世も今も世も
鵜篝に照らされてゐる古城かな
鵜飼では来賓挨拶過半占め
神様が舞い降りた舟鵜飼かな
きしきしとあまたの星や鵜飼果て
四方(よも)暮れてやうやく鵜飼始まりぬ
鵜飼ぶね長良の風を知り尽くし
本を読み鵜飼の歴史を予習して
鵜飼の鵜になってみたい倦む日々よ
火の靡くままに瀬を越え老鵜匠
鵜飼漁篝圏内てんやわや
故郷の鵜飼開きのニュース観る
スマートフォン見ながら皆が鵜飼待つ
闇に聞く鵜と人の声徒鵜飼
満面に火の粉を受くる鵜匠かな
漆黒の闇鵜飼の火勇ましき
鵜飼観る人様々に屋形舟
伏せてある鵜籠や鵜らの載りゐたる
何いはず岸によせたる鵜飼舟
踊る魚捉えてかなし鵜飼かな
今まさに火の粉まきあげ鵜飼船
鵜飼火やみな彫り深き顔となる
宇治川の夜のとばり曵く鵜舟かな
見ながらにげっぷもよおす鵜飼かな
金華山城も眺むる鵜飼かな
山城に月触れてゆく鵜飼かな
喉の毛の少し痩せるたる鵜飼かな
篝火や川面あかあか鵜舟かな
朝白く鵜飼の川のしずまりぬ
昼鵜飼篝の薪のかわきたる
悲しくてやがて愉しき鵜飼なり
墨色の水面顔出す鵜を激励
鵜飼舟岸の酒場は終着地
意気合わす鵜匠とも乗りなか乗りと
新前の鵜を篝火の光らせる
増水渇水鳥と乗り切る鵜飼かな
鵜篝の大きく爆ぜて舟の丈
篝火の川底へ伸ぶ鵜飼かな
告示には後半の鵜飼は中止です
ホウホウと鵜匠千古の声張れり
回し場の鵜匠半目に火を見たり
かがり火に鵜飼の影のくっきりと
秋津島手技を極めし鵜飼かな
絡まらぬ鵜縄に絡む十指かな
綱手繰る鵜匠の声の闇さかな
電車降り鵜飼会場まで走り
引綱に神経通ふ鵜飼かな
長良川鵜飼の文化市の誇り(ながらがわうかいのぶんかしのほこり)
手違ひで鶴になり損ねし荒鵜
篝火や女鵜匠を暴き出し
浮きかけて羽ばたき止める手縄の鵜
いずこより雅楽の聞こゆ鵜飼の夜
夜の川を照らす鵜舟の火影かな
とらえてもとらえても鵜は空腹に
鵜飼見て単語唱える塾帰り
鵜匠みな手綱に力総がらみ
働けど食えぬ鵜飼いの手相かな
鵜篝の集ひて川の闇燃ゆる
疲れ鵜の川面に火の粉浴びてをり
二代目は教師志望のの鵜匠かな
長しへにティアラのひかり鵜縄の音
資本主義まとめて見せる鵜飼かな
鵜篝の火にあやつられあやつりぬ
戦闘のいつまでつづく鵜飼かな
名川に名城ありて鵜飼かな
篝火が幽玄織り成す鵜飼かな
信長の城のしかかる鵜飼川
肉眼とスマートフォンで見る鵜飼
伝承と云へば美名の鵜飼かな
鵜松明母なる川が燃えてゐる
鵜と人と見守る人の川面かな
鵜篝を艫にしてゐる鵜舟かな
鵜飼果つ黒く流るる川残り
虐待と言はれてしまふ鵜飼かな
鵜の気性知りて鵜匠の鵜飼舟
鵜飼過ぎ去りし一つも魚無し
静かなる鵜川に浮かぶ無頼漢
篝火の靡きの果の鵜舟かな
鵜篝に眠れぬ川の生臭さ
鵜飼舟角兵衛獅子にさも似たり
暴れ鮎鵜の喉うねるど迫力
御料場に太きを選ぶ鵜飼かな
青春は鵜飼のように食い食われ
滔滔と川を操る鵜飼かな
遥か遠く猫匂い嗅ぐ鵜飼かな
鵜飼舟火当りながら行きにけり
ある時は鵜飼許さぬ暴れ川
篝火の輪の中乱痴気鵜飼漁
とつぷりと暮るる篝火鵜飼かな
手網引く女鵜匠の鋭き目
ロマンスは鵜飼の明かり頼りにし
篝火がやけに明るい鵜飼かな
火の垂れるままに鵜舟の櫂さばき
潜り吐き昼穏やかにと鵜を思う
人生を眺めるような鵜飼かな
宴果て星を見てゐる鵜飼舟
鵜篝の火の熟れ落つる長良川
長き喉くくりさすりて鵜匠の手
鵜飼衆むしろ飲酒が奨められ
家事育児共働きは鵜飼の鵜
辺りには揺るる闇ある鵜飼の火
朝なれば鵜飼の魚俺の物
鵜飼舟川面と闇を焦がしつつ
長良川鵜飼の聖地為る令和
最後とは言わずにいるね鵜飼見る
夜満ちて川面に絡む鵜篝や
我々も飼われた鵜かも呑みこめず
普段着で鵜飼見学酒飲みて
篝火を爆ぜ鵜舟来る闇の中
鵜篝の火の粉散る夜に浮きゐたり
篝火や鵜飼見ながら長良川
いっせいに放つ鵜を統べ伏羲なりや
鵜飼火の消えてめがねの煤拭ふ
火の粉舞ひ川面に浮かぶ鵜飼かな
その嘴の靭さ哀しき鵜飼かな
プルトニウウム吐く原子炉の鵜飼かな
鵜飼火は逆光シャッターチャンス来て
すれ違ふ息もぴつたり鵜舟かな
重箱を積み込み揺るる鵜舟かな
下流へと急ぐ鵜飼の鵜の尾羽根
千年の闇を吐き出す荒鵜かな
腰蓑の音の頻りや鵜飼果て
貸し切りの鵜舟に胡坐かけば風
鵜篝や闇の深きに金華山
鵜も匠も一瞬睨む凄さかな
鵜飼への邪魔をせぬよう迂回して
岐阜城や月下に行き交ふ鵜飼舟
篝火の火の粉の舞ひや鵜飼舟
夜はたけなわ松木つぐ鵜匠たち
篝火に手綱操る鵜飼かな
操らる女鵜匠の綱加減
颯爽と女操る宇治鵜飼
行き去りし鵜飼の余韻黒い水
星ひとつ消え鵜飼火の現れる
鵜飼終はり空に大きな白鳥座
解禁にどの新聞も鵜飼の火
全山の闇なだれこむ鵜飼かな
餌を吐かす鵜匠の技や鵜飼舟
卵から育つ鵜飼の鵜の気性
鵜飼も舟も匠の伝統業(うかいもふねもたくみのでんとうぎょう)
天皇は今日も公務や鵜飼舟
鵜遣の巧みなるほど闇深し
鵜匠なりし若手にエール送る夏
われもまた鵜と気づかさる鵜飼かな
まばたきのあはひへ消えてゆく鵜舟
自由とは荒鵜の首のよく伸ぶる
後継の鵜縄さばきの初々し
鵜の分まで火の粉を浴ぶる鵜匠かな
サラリーマン嫌なもの見る鵜飼かな
篝火の落ちて鵜飼の闇妖し
鵜が戻る水に鵜匠は声かけて
シイズンが終わり感謝の鵜の供養
夕闇の瀬に急かさるる鵜飼かな
鵜篝の濃き火の色の夜となりぬ
河口堰皆は忘れて鵜飼見る
万葉の歌に流るる鵜匠かな
今日だけは同情しない鵜飼かな
元サッカー鵜飼レビューの長良川
舟縁に腰を休めし老鵜匠
鵜篝の後のさざめき波音と
千年の古都に闇ある鵜飼かな
弾末の声にて餌吐く鵜飼の鵜
鵜飼はや国家と吾の関係か
千年の夢におぼるる鵜飼かな
出たがる鵜出たがらぬ鵜の鵜籠かな
船頭は垂れ目の美男鵜飼舟
残業を終えて遠目に鵜飼の灯
ホウホウと鵜舟の滑る川面かな
労働の疲れのあるや鵜舟の鵜
鵜飼の火拍手の中から川岸へ
疲れ鵜をだましだましの縄加減
鵜飼の鵜つるり吐き出す贈物
神様に捧げる鵜飼綺麗だな
人も鵜も篝も倦んで闇の底
続きたる世襲無口過ぎし鵜匠
鵜篝の鉄籠わらふ鬼のごと
鵜と人と歴史を繋ぐ瀬の流れ
昼は昼の顔をつくつてゐる鵜匠
ざりざりと鵜舟を擦る磨砂
鵜篝の火照りや黄泉へ沈む月
篝火を零れゆく火の鵜飼かな
鵜飼舟暮れて佳境のかがり火に
鵜飼行く前の注意に十か条
鵜舟には水商売の女たち
鵜の声と川の音聴く鵜飼かな
鵜舟よりライトアップの大洲城
あかあかと火の粉浴びたる鵜飼かな
この川に老いて鵜匠の縄さばき
鵜篝や川面に波のしづやかに
疲れ鵜の羽を小さくたたみけり
篝火と煙見ている鵜飼かな
雛となり豪華な夕餉鵜飼舟
墨水に揺られ鵜飼の夢枕
アユ撥ねて鵜の喉もとが躍動す
いにしへと変はらぬ闇に鵜飼果つ
松明のいよよ猛けたり鵜を放つ
鵜飼舟闇に零れし火の刹那
天と地を繋げし闇へ鵜飼の火
コロナ禍も鵜飼体験不退転(ころなかもうかいたいけんふたいてん)
邪に見える疲れ鵜ワンナイト
欄干に肘ついて見る鵜飼かな
城を出て入り日を待てず鵜飼舟
ヨツザシは干しつ放しの鵜飼小屋
鵜飼さえ心のままの欲という
篝火の外は常闇鵜飼かな
鵜の首のくの字となりて吐きにけり
ホウホウとまづ鵜を煽つ鵜匠かな
振り向くとよくないらしい鵜飼の灯
息合わす鵜匠と船頭鵜飼舟
匠の技光る鵜飼の伝統(たくみのわざひかるうかいのでんとう)
漸うに闇となりゆく鵜飼かな
還暦の恩師囲みて鵜舟かな
鵜飼舟鵜の放たるる首の影
鵜飼火に照らす逢魔の腕時計
藍の空黒へと鵜飼真っ盛り
良い違え宇治の宇じゃない鵜飼の鵜
鵜篝の消えてけもののにほひかな
苦しみは吐き出すちから鵜松明
虐待をしてはいまいか鵜飼かな
川風に手縄ほどける鵜飼かな
鵜飼見て人見て歩く渡月橋
貴人らの宴きはまる鵜飼かな
酣を過ぎて鵜篝爆ぜ崩れ
伝統の長良川鵜飼観る光(でんとうのながらがわうかいみるひかり)
式部職鵜匠六人総がらみ
鵜匠就き鵜から教わるニューフェイス
船端を叩く鵜匠の荒ぶれり
鵜飼後の闇のひときは静かなり
車の灯隠し鵜舟に闇作る
火の粉降る川面に鵜首潜らせし
本命の荒鵜が人気集めをり
魚はきっと疲れ鵜が好き性行為
お目当ては鵜飼の後のばか話
プロポーズ鵜飼の炎向いたまま
疲れ鵜を連れて行きたきガード下
鵜呑みせず噛み砕く食鵜飼船
鵜飼舟労務者の面(つら)鵜のまなこ
一筋に火影の垂れる鵜舟かな
川魚鵜飼のメンバー木をつつき
若き鵜の予行練習縄の縒れ
天職と言ふには若き鵜匠かな
歓声や唯ひたすらに鵜飼道
鵜飼舟手縄(たなわ)束ねる修羅の匠
鵜と為りし夢に震える身と心
翼から火の粉こぼるる荒鵜かな
鵜飼から竹林歩くフルコース
鵜飼火や水面綾なす綱捌き
物言わず鵜匠は船を岸寄せる
泣きながら吐いているのか鵜飼の鵜
疲れ鵜や老いる速さも長良川
寂しさは秋の鵜飼のしまひごろ
鵜篝や水底に妻ねむるごと
鵜篝に闇の崩るる川面かな
大川に鵜飼の光輪点々と
鵜篝の点くまでのこと城の月
篝火に一対の影鵜飼かな
水温のふと気にかかる鵜飼かな
鵜の涙知らず篝の熱さかな
子を連れて景も楽しむ昼鵜飼
篝火に揺れる鵜飼の血筋かな
古のスポットライト鵜飼舟
かがり火の揺れる水面に鮎怯ゆ
さっぱりと顎髭長き鵜匠かな
川上へ竿さす鵜飼力の限り
ひあたりにひろがりゐたる鵜籠かな
鵜縄見て里心つく愛犬家
総がらみ川面に並ぶ鵜のレビュー
鵜篝の爆ぜて驚く水面かな
岐阜の鵜飼小5が学ぶ伝統漁(ぎふのうかいしょうごがまなぶでんとうりょう)
虐待やこれは言はぬか鵜飼には
飲み込んだ魚鵜匠へ食卓へ
鵜の眠り鵜匠の眠り軋む舟
大いなる闇をひつぱる鵜飼舟
火と水の出会ふ一夜の鵜飼かな
篝火を川へ沈めて鵜飼果つ
帰省して鵜飼まだまだ一日目
鵜飼見る顔一列の屋形船
鵜飼とはマンボナンバー5かな
千年の鵜飼を継なぐ長良川
鵜飼果て水面に星の戻りけり
夕暮れや鵜飼の舟が接岸す