きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「萩」__金曜俳句への投句一覧
(10月25日号掲載=9月30日締切)

萩は秋の七草のひとつです。古来秋を代表する花とされたので、草冠に秋と書いて、はぎと読ませています。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2024年10月25日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【萩】
奈良路ゆく閻魔向き合ふ萩の寺
小さきこと拾ふ尊さ萩の庭
災害の過ぎて幾月萩の宿
山頂は一面の萩親子連れ
萩咲いて生まれし医院空き地なる
線香の匂い幽かに萩の花
白萩の宿に鳥影集けり
萩咲いて庭に明かりを灯しけり
あかあかと迫りくる萩よけにけり
萩の花ひとつひとつに萩の精
こぼれ萩そして所得は零となる
長堤の萩の彼方の故郷かな
提灯に遊女の棲めり萩を刈る
こぼれはぎ耳は重さを感じない
女みなものがたり持つ萩の花
城下町季節変わりて萩の花
白壁へふざける萩の薄き陰
車椅子萩へと押して母起こす
萩の白石垣覆ふ昔かな
地を踏んで訪問介護こぼれ萩
廃屋のもとあら萩の逞しく
萩の寺バックで下る車椅子
草刈の鎌傷残す括り萩
影踏みて萩のトンネルすぐ尽きる
宥むとも宥めきれぬや風の萩
咲いて散り散って咲くのが萩の恋
萩の花鯉はゆつくり泥を立て
初萩やひっそりと咲き主留守
妙齢の女小走りに萩の道
白塀の水陽炎や萩の風
勤行の通ふ道野辺萩うねる
行く道の通せんぼして萩咲きぬ
乱れ萩田圃の鳥のゆとりかな
喫茶店萩を咲かせる風流さ
藍染の作務衣褪せたり萩日和
萩の声また塾頭の代はりけり
この齢で歯は残りいぬ萩の花
福耳の老僧の寺萩白し
ぼた餅を「おはぎ」と呼んで秋彼岸
遊郭の風情残れる乱れ萩
褒めぬ師の眼差し残る萩の花
紅白の萩のこぼるる潦
手話の娘の白き指先萩の庭
子供らのラジオ体操萩日和
漁りの村暮れなずむ萩のなか
後朝の萩はしとどに濡れてゐし
萩と友ノートに書いた十五歳
座布団に萩鹿パシリ音たてぬ
白萩やかつて御幸のありし寺
洛中を迷ひ名も無き萩の門
白萩や白布の躯ガザの街
紅萩や手話のマニユキユア右左
文鎮を斜めに置きてこぼれ萩
揺るる萩括りて萩の輪をくぐる
萩散るや古き門跡寺のあと
白萩にうなづいてゐる風の道
老妻と記念の自撮り残り萩
洪水の涙の跡や萩しなる
白萩の咲きて涼しさ増しにけり
路地奥に萩咲き満ちて風しずか
白萩やジーンズのまま往診に
売家やいまこそ我が世萩の群れ
雑草を刈りて一叢萩の花
竹箒揺すれば萩の笑いたり
早々に萩をしまいてまた今年
萩乱る閻魔歌えよ白毫寺
風の名を呼んで嘆きし萩の花
萩の花清めし庭にひろげおり
病室の無臭のにほひ萩の花
御手洗に萩活けてある欠け土瓶
半開きのスポーツバック萩の風
彫り終えて鑿置く仏師萩明り
女物干されてをりぬこぼれ萩
萩の花風にしないて可憐なり
萩咲いて公園内の掃除盛ん
溜息に僅かに揺るる萩の花
まるで萩散る気配まで見つる我
萩叢の奥を夢幻の荒野かな
階に六羽の雀こぼれ萩
白萩の咲きたる庭に母の日々
萩の花ブルドーザーが揺らしをり
旅人の含んだ声に萩ゆるる
登下校萩のこぼるる城下町
暗渠にも水面のありて萩の花
萩こぼる城の昔を語りては
往還を野萩の切れ目なく在りぬ
寺の名の由来聞く間も萩零れ
階段を登ればこぼる萩の寺
この花は萩と教えて消えた人
其処此処に萩咲き乱れ齢知る
板塀に萩の葉一つ顔を出し
紅白の萩の小径を旅鞄
発着がホームの萩を揺らしけり
宮城野の夕べに萩の咲き乱れ
できるかぎり地べたに萩の接近す
雨に散る萩酒の名の華やかに
往診の鞄あまたの萩こぼす
母さんと仲直りせずこぼれ萩
故郷の萩に目止まる歳になり
役終へし縁切り寺に萩盛ん
萩の花いろえんぴつは闇を秘め
萩の風若き頃には見ずに過ぐ
奥多摩の鹿鳴草の雨に散る
城ありて石垣白き萩の花
白萩の星のやうなるさやぎかな
酔漢の見間違えるや乱れ萩
萩わらを分ける家路の空青し
心には心の寿命はぎのはな
白萩や夕日の色の紅をさす
宅配の萩を零さず大きな荷
老人が寄つてゆくといやがる萩
萩を挿す出奔のめじるしとして
白萩やクロワッサンをこぼす膝
おのおのにお辞儀してゐる萩日和
バス待つやスカーフ畳む萩の原
風吹けば部屋を覗きし庭の萩
ここまでと決めて近づく萩の花
中庭の空は四角や萩の風
萩さやぐ野の道小道家遥か
夜の帳森の扉の白き萩
白萩の弱きひかりは良きひかり
しだれ萩ひと夜の風にすがれけり
今年こそ萩の紫やさしめに
膨らんで萩の自由の先の先
萩掃かむ朝こぼるる萩が為
やつと来たバスで見直す野萩かな
萩咲いて万葉人の愛し花
萩の雨酒のラベルの文字跳ねて
白揺れて少し遅れて紅の萩
便箋に罫線淡き萩日和
この萩はあの寺のもの花盗人
もう誰も着てはくれぬか萩衣装
萩白く石垣の青隠しおり
人波の音に震へる萩の花
売り出しの「萩咲く庭」とつけてあり
ずぶ濡れのスカート揺らす乱れ萩
おそらくは透明になる野萩かな
敷石の継ぎ目を雨のこぼれ萩
河岸の萩ゆれてはなやぎ花散らす
叔母さんの小袖珍し萩の花
仙台衆これを宮城野萩と言ふ
道すがら萩を見つけて話接ぐ
口真似の上手い恋人萩の花
滅法萩の花に好かるる男
山風に舞い上がり飛ぶこぼれ萩
萩の家の遠くにありて紅ほのか
参道を細めて萩の盛りかな
むやみやたらに萩を触りつづける
ちっぽけな星の生命や萩に風
山城の垣の伝へや零れ萩
いつだって最初の日は萩のよう
ひとりきり手持無沙汰に萩活ける
裏山へゆるゆる登る萩の道
萩零る見らるることに倦みてより
ゆく風が掴めさうなり萩日和
萩の花こぼるるままに門を閉づ
赤青の塩梅難し萩の艶
腕白なランドセルより萩の花
萩の宿濃茶に癒す旅疲れ
しだる萩野点する女垣間見る
隠れんぼ終へて散らせし萩の花
ありし日の城慰めて萩の白
通院やわが手を濡らす萩の影
乱れ萩吾子駆け回る境内地
萩こぼる外人墓地を宣教師
すなほにはなれぬままなる乱れ萩
カーテンてふ瞼萩より落つ涙
奔放な萩に結界ある美空
妻の抱く吾子の笑ひや萩こぼる
いつかの日鳥が運びし萩の種
乱れ萩脛に触れよと近付きぬ
萩の宿の門吏のごとき白猫よ
こぼれ萩踏みつける度空を見る
家の裏に1本太き萩のあり
歌詞をもう忘れた曲の乱れ萩
居酒屋の壺に溢るゝ萩の花
達筆の句碑読めずとも萩の花
風ふふみなほ絢爛に萩こぼれ
乱れては刑忘るる萩の朝
萩の野を行けばずぼんも露にぬれ
萩の風押されて妻とウォーキング
幼子のもろ手で受けるや萩の花
萩零れ地に奔放なモザイク画
萩はたけなわとりとめもなき弔事かな
寝疲れてじつと見てゐる雨の萩
病得て三十日目萩揺るる
県庁の裏に丘有り野萩有り
口実を思ひ付かずに萩の径
円空の鑿痕はしる萩の月
白萩や鉛筆削りの音静か
萩ひとつひとつ遊ばせ白拍子
一桁の乗降人や萩の駅
学僧の清めし庭に萩の風
老い二人参道ゆるりと萩盛り
夕されば境内の萩魅せられて

【不明】
あさやけにカモのひなのむサギののど
あおむけのヒミズとぶらうトリカブト