きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

兼題「蝙蝠(こうもり)」__金曜俳句への投句一覧
(4月25日号掲載=3月31日締切)

蝙蝠は、夜行性で屋根裏や岩窟などに棲んでいます。初夏から晩秋にかけ、夕方になると盛んに飛び回ります。

さて、どんな句が寄せられたでしょうか。

選句結果と選評は『週刊金曜日』2025年4月25日号に掲載します。

どうぞ、選句をお楽しみ下さり、櫂未知子さんの選と比べてみてください。
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※差別を助長するなどの問題がある表現は、この「投句一覧」から省きます。
※上記以外で投句した句が掲載されていない場合は、編集部(伊田)までご連絡ください。

【蝙蝠】
ご先祖の墓域飛んだる蚊食鳥
鉄棒に蝙蝠のごと子が揺れる
蝙蝠の飛ぶ天井にフレスコ画
夕闇に友愛交はす蚊食鳥
バンパーに茹で蝙蝠と停めて知る
蝙蝠や前方後円墳暮れて
蝙蝠も懼るる闇のありにけり
蝙蝠の落ちしあたりの水の音
コウモリがプールの水を飲む夕べ
夕暮の空を揺らして蚊喰鳥
蝙蝠や託児所の灯はオレンジ色
蝙蝠は神様からの贈り物
蝙蝠や三日つづきの夜勤明け
蝙蝠の町は十色に暮れにけり
蝙蝠の器用に尿したまへり
蝙蝠は益鳥により蟲が減る
こうもりの自在路地より見失ひ
蝙蝠や庭先話長きかな
蝙蝠や物干し台は屋根の上
ビニル傘開き夕日に蝙蝠来
妻の悲鳴吾と蝙蝠を驚かす
蝙蝠や土足の兵士二人組
蝙蝠や漢字で書けぬもどかしさ
蝙蝠も理由がありてくねり飛ぶ
共感を呼んでは逃げる蝙蝠だ
包丁研ぐ庫裡の深更火喰鳥
花言葉知らぬ蝙蝠いけ好かぬ
蝙蝠やドローン襲ふウクライナ
蝙蝠やたそがれ在りし今昔
かうもりの空の辻にて折り返す
蝙蝠や浅川マキは黒ずくめ
蝙蝠や夕餉の匂い其処彼処
蝙蝠や映画の後のバットマン
洞ふかくこうもりの匂ふ闇にして
蝙蝠の重たき飛翔街滲む
蝙蝠やこの世に未練ありそうな
蝙蝠や教科書に出てきし寺院
遠雷のごとく蝙蝠過りをり
蝙蝠やトタン葺きなる平倉庫
蝙蝠が八幡社の近く飛んで居る
あんぱんの空洞蚊喰鳥の洞
蝙蝠の数多に月の捕らわるる
かうもりのうすき翼を夜明けくる
うしろから狙われるよな蚊喰鳥
夕暮れの寂しき揺らぎ蚊喰鳥
蝙蝠を鳥と説明ひとまずは
橋もぐり蝙蝠の飛ぶ日暮かな
蝙蝠の宵は盆地に溜まりけり
かはほりやどちら似でもない三男坊
夕暮れや蝙蝠見し日恋想ひ
蝙蝠は道路で己を隠しけり
蝙蝠の夜を湧き立つ無言劇
蝙蝠やみづいろ夕べの美し言いぶん
蝙蝠のふはりと風を抜けにけり
蝙蝠や頭上のエコーロケーション
蝙蝠に縄張りのある浜灯し
蝙蝠や野外脱衣所露天風呂
かはほりの音なく暮色呼び寄せり
かはほりの白目なき眼ににらまるる
蝙蝠や幾度も潜る橋の闇
必然に飽いたる夜や蝙蝠来
傘を手に洞窟探検蚊喰鳥
蝙蝠のみやこの闇を跋扈せり
蝙蝠の来てより闇の膨らみし
蝙蝠や燻り続く太き梁
蝙蝠は哀れなるかな闇の城
夜あそぶ蝙蝠明けし地平もつ
夕方近視飛ぶ蝙蝠に嫉妬する
蝙蝠や早く帰れと子らに云う
蝙蝠や防空壕跡住み処とし
蝙蝠を数へられずに見てをりぬ
せせらぎのギャルの奇声や蚊喰鳥
蝙蝠や灯り乏しきニュータウン
蝙蝠やパンデミックの影が飛ぶ
夕やみに蝙蝠低く舞い踊る
蝙蝠として夕暮れに出陣す
コウモリの小さき影や茜雲
ありがとうと言われて迷ふ蚊喰鳥
蝙蝠や川に沿ひたる米問屋
蝙蝠も仔を育つるやその乳で
星空に帰る場所なき蚊食鳥
花一匁のやうに蝙蝠群れ飛べり
満月を恐れ蝙蝠隠れけり
蝙蝠は呟しと思う若葉かな
猥褻な言葉を発す蚊喰鳥
蝙蝠の目撃場所を忘れたり
蝙蝠の群れてひりつく夜雨かな
福来たる子と愛でている蚊食鳥
足元に蝙蝠が飛ぶ老社屋
蝙蝠のような政治家なぜ多い
動き出す蝙蝠送り夢の中
蝙蝠の寄り来る家の寂しくて
屋根裏に蝙蝠を飼ふ独り者
蝙蝠や故郷までの道しるべ
田の水に映るコウモリ風そよぐ
蝙蝠の塒となるや我が団地
蝙蝠や土間の向こうの一番湯
蝙蝠の潜む古城を首竦め
蝙蝠の飛ぶ真下なる露天の湯
金の月を四分五裂に大蝙蝠
かはほりや黒き血の色ぶら下がる
たそがれに乳牛鳴くや蚊喰鳥
蝙蝠や闇から闇へ消える事
雨の日は色とりどりの蝙蝠が
蝙蝠や城壁に来て屋根の裏
幻の楼が遺跡に蚊喰鳥
かはほりやそろそろボールの見えなくて
蝙蝠の骸朝日に横たわり
蝙蝠の舞う十字路に献花台
かはほりの暮色きはむる遠嶺かな
臆病な蝙蝠の鳴く洞の奥
喪失の乳房の温み蝙蝠飛ぶ
蝙蝠もさやかに見えぬ夕間暮れ
蝙蝠に案内されて秘密基地
蝙蝠や胃薬喉に張り付きぬ
あきらめぬまで低く飛ぶ蚊喰鳥
蝙蝠の夕べに消ゆる子らの声
蝙蝠や晩餐会に燕尾服
蝙蝠の眼の光りたる修羅の闇
蝙蝠や家族いづれも夜行性
信号のなき大寺や蚊喰鳥
蝙蝠や叢雲揺れる夜の闇
闇へ溶けゆく蝙蝠たちの日暮れ
蚊食鳥昔誰かと来し運河
飛ぶときは飴色になる蚊喰鳥
廃船より繋がり出づる蝙蝠よ
光差す時まで蝙蝠の宇宙
こうもりの隧道児らの肝試し
蝙蝠の正にて他がみな逆さ
蝙蝠や回転ドアに滑り込み
蝙蝠や硬きタオルを取り込みぬ
コウモリの影映るなり水鏡
天守閣燃えしあの夜の蝙蝠か
蝙蝠の塞ぎて闇のより深き
足の位置上下こうもり親子かな
蝙蝠や汝の塒に吾つれゆけよ
蝙蝠の音もたてずに夜を裂く
蝙蝠やどこにも止まる気配なし
蝙蝠や肘汚れたる銃の口
蝙蝠に倣へと思ふ会議かな
夕暮れ夜との間蝙蝠飛ぶ
かはほりや頼れるものにてる坊主
蝙蝠よ燕に見限られし家ぞ
蝙蝠や餓鬼大将の帽子剥ぐ
蝙蝠や隣の家は平和そう
蝙蝠の飛び交ふ闇の躍動感
蝙蝠や闇に紛れてかくれんぼ
蝙蝠や愛犬の鼻かすめおり
舞ふと見ゆ物狂ひと見ゆ火喰鳥
蝙蝠を棒きれで追ひ回しけり
蝙蝠も人も音なき夕まぐれ
こうもりは羽を広げて超音波
コウモリの静かに舞える月の里
蝙蝠や日記を綴るアンネの夜
蝙蝠の影のやはらぐ夕薄暑
蝙蝠や雑踏の中すれ違う
日陰の身だと蝙蝠をなぜ嗤う
漆黒の闇より生る大蝙蝠
蝙蝠やビルの隙間を滲み出づる
蝙蝠や田に広々と水を引く
暮れなずむ空ぎざぎざに蚊喰鳥
蝙蝠や吾の夕空に飛び交いぬ
蝙蝠や復讐のひと逃走す
蝙蝠も巣に帰りたい素振り見え
蝙蝠や逢魔が時と出遭ひたり
蝙蝠や天路へのびるミサの列
蝙蝠の声と教はる眠れぬ夜
蝙蝠や月も見ず文字盤も見ず
蝙蝠や故郷遠し夕間暮れ
この町のここが銀座や蚊喰鳥
へばりつく影なき影や昼蝙蝠
蝙蝠や亡き父愛すUFO
うすやみに波紋蝙蝠翻る
大蝙蝠隧道跡を占拠せり
蝙蝠としてあくまでも嫌はれる
蝙蝠や佳境に入るフラメンコ
蝙蝠は超音波翔ふ大都会
蝙蝠に行方阻まれ遠回り
下駄を蹴るあの蝙蝠を落とすまで
蝙蝠や岩窟に棲む人ダイブ
靴擦れの帰路やかわほりの声か
換気口に棲む蝙蝠の夜泣きかな
蝙蝠ばかり異土の浜暮れにけり
かはほりは老人だけを好みたり
蝙蝠を串刺しに行くにわか雨
回覧板むかし手渡し蚊喰鳥
蝙蝠や顔の可愛さギャップあり
蝙蝠と喪服の人々一列に
寝静まる団地の闇よ蝙蝠よ
蝙蝠や風を縫ふごと過ぎてゆく
蝙蝠の耳元過る夕まぐれ
蝙蝠になれたら行きたいところあり
蝙蝠のように働く人数多
蝙蝠の鼠の面してぎいぎいと
蝙蝠やみづいろ夕べの美し言ひぶん
蝙蝠を煮るもここらの社会鍋
耳老いて蝙蝠一羽住まわせる
街灯に群がるものに蚊喰鳥
廃道に蝙蝠の低空飛行
蝙蝠や上京の子は涙顔
蝙蝠の糞を貰ひし新車なる
夕暮れに蝙蝠とばす超音波
蝙蝠やどこかにひそむ奥座敷
蝙蝠の男どき女どきを掻き回す
蝙蝠の眼の逆しまに吾を睨む
蝙蝠や雨雲垂るるその下を
蝙蝠の集く街燈かき分くる