きんようブログ 社員エッセイを掲載。あの記事の裏話も読めるかも!?

真意伝える「不適切な発言」

シジフォスの希望(14)

 NHKの自民党総裁選報道をめぐり、視聴者コールセンターに電話をした女性に対して、対応責任者が「はいはいはい、分からないんですか。自民党のPRですよ」などと答えたため、NHK側は「誤解を与える不適切な対応だった」として上司3人が電話をした女性に直接謝罪、この対応責任者を処分した(内容は明らかにせず)という(10月9日付『東京新聞』など)。

 9月10日のNHK「ニュース7」は通常の30分放送を1時間に延長して自民党総裁選の様子を伝えたが、視聴者から「総裁選報道が長すぎる」との意見・苦情が約300件寄せられていた。この女性もそう感じて電話をしたのだろう。多くの視聴者がおかしいと感じるほどの「自民党PR」番組だったのだ。
事の軽重を取り違えてはいけない。問題は「対応責任者」の対応にあったのではなく、「不偏不党」を標榜するNHKの報道姿勢そのものにあるのではないか。「処分」されるべきは「対応責任者」ではなく、そのような自民党総裁選PR番組を作った「ニュース7」の制作責任者であり、それを許した(あるいは、命じた)NHK中枢の人間ではないか。

 もう一つ、ナカヤマ某という男の「日教組敵視・弾圧」発言について。これを「失言」と表現するメディアもあるが、言い過ぎだとか言い誤ったという類の言葉ではなく、明らかにこれは彼の「真意」だろう。

 今からでも遅くない。日本教職員組合はこの男を労働組合法第7条(不当労働行為)違反で訴えたらどうか。使用者ではないにせよ、直接の使用者以上の影響力がある政府の一員による確信犯的な不当労働行為発言を放置すべきではない。
 
 自身は教育に相当思い入れがあるようだから、憲法を守るという最低限の政治家の責務を、再出馬の前にぜひ法廷の場で学んでもらったらどうか。こういう男を何度も当選させてきた宮崎県の有権者への、身をもっての教育にもなるだろう。(片岡 伸行)