週刊金曜日 編集後記

1119号

▼福岡の「九電本店前ひろばテント」常連の片山純子さんの発案で、昨年末に「原発なくす蔵」というサイト URL・http://npg.boo.jp/ がつくられた(共同世話人は青柳行信・棚次奎介・片山純子各氏)。原発推進側の強力な勢力に市民が対抗するためにはネットワークの形成が不可欠、ということで全国の脱原発運動関連のサイト情報を集めて紹介している。その心意気も素晴らしいが、トップページの「原発からの距離」地図がすごい。
 気になる原発を選択し距離を入力すると該当地域が円で囲まれるしくみ。試しに全原発を選択し距離200kmと入力したら、北海道や鹿児島の一部と沖縄等を除いて日本列島ほぼ全てが覆われてしまった。つまり日本は「核の下」にあることが一目瞭然なのである。肝は冷えますがお試しください。ちなみに、トップページの象を描いたのは「さらん日記」作者です。「原発なくす象」?(宮本有紀)

▼今年は、南京大虐殺から80年を迎える。来年は「明治維新150年」だ。3年前の2014年には、『朝日』の「吉田証言報道」は誤報だった=従軍「慰安婦」報道は捏造だった――式の、右派メディアのデマキャンペーンが席巻したが、今年は南京大虐殺をなかったことにしたい歴史修正主義の動きが活発化するだろう。
 明治維新は「王政復古」の大号令で開始され、建国神話に基づく「天皇教」という不可侵の疑似宗教を権力と一体化させた凶悪な大日本帝国を生んだ。この国家が手を染めた対外侵略は、現人神である天皇の権威を拠り所にしていたがゆえに国内における抵抗の弱さを招き、その負の結果が日中全面戦争であり、南京大虐殺に他ならない。
 まず歴史の事実から出発しないと、大日本帝国をもたらした明治維新の正体には迫れない。その意味から今年と来年は、歴史認識の上で勝負の年となる。(成澤宗男)

▼明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
 ここ数年、暮れやお正月の設えがどんどん雑になってきているなあと感じていたのですが、今年は年越しそばを元日夜に食べる事態にまでなりました。猛省すると同時に、来年はそんなことのないよう、気を引き締めて1年を過ごそうと思います。
 ところでこの冬は、灯油が高くて大変です。わが家周辺では、ガソリンスタンド店頭で18リットル1300円前後、巡回販売だと18リットル1500円超です(1月上旬時点)。昨冬と比べるとかなり高く、しかも今冬は厳冬傾向らしいので、灯油価格の高騰はかなり厳しいですね。シーズン通して計算すると、相当の負担増です。例年の経験だと、年明けの小売価格が上がったときはシーズン終了まで下がることはないので、今年の灯油代が憂鬱です。(渡辺妙子)

▼昨年11月に刊行した『実名告発 創価学会』がようやく売れ始めたようだ。3人の元学会職員による内部告発は魂の叫びであるがゆえ、共感しつつも信仰のない私にとって言葉が重く大仰な印象を抱いたが、その告発内容は衝撃的であり、当初から期待の新刊だった。
 発刊直後、店頭での扱いは概ね良好だが動きが鈍い。また配本書店以外からの「見込み注文」がほとんどなく、この本の特異さに軽い戦慄を覚える。過去にあまり例を見ない極端なものだ。そして新聞広告。予想通り新聞社は「創価」の文字に敏感だった。ただ、はっきりと掲載NGの理由を聞いたのはごく一部。関わりたくないのか、うやむやにして煙に巻いての時間切れ、なんとも「イヤーな」感じ。それでも広告代理店の頑張りで『新潟日報』を皮切りに『中日』、『東京』、『朝日』、『琉球新報』等が掲載に踏み切ってくれた。巻き返しはこれからだ。(町田明穂)