週刊金曜日 編集後記

1215号

▼昨年12月23日、天皇誕生日の一般参賀を東京・皇居に見に行き、公式アカウントでツイートしました。行ったこと自体を批判する書き込みもありましたが、ジャーナリズムの基本は現場です。万歳の熱狂はあまり感じられず、私の周囲からは「いた、いた」「見えた」などの声が上がっていました。
 今号の特集は26ページに及ぶため、写真の組み合わせにも注意を払います。中嶋啓明さんの記事には、重要な論点である大嘗祭の高御座の写真を提案。「やめてもらえませんか。気持ち悪いので」と言われましたが、30年近く前のことを知らなかったり、忘れていたりする方もいるはずです。さまざまな感情や受け止め方と向き合ってより良い誌面作りに努めたいと思います。天皇制は今回の特集だけではとても追い切れません。読者の方々の「投書」もお待ちしております。(伊田浩之)

▼年末年始のメディアは、「平成最後の〇〇」の大安売り。元号の区切りへの過剰な意味付けに疑問を覚える。「平成最後の紅白」も、ユーミンやサザンなど賑やかだったが、印象的だったのは「おげんさんといっしょ」のミニコーナー。星野源=おげんさんが、紅組か白組かを問われ、「男でも女でもないから」と戸惑い、「紅白も性別関係なく、混合チームでいけばいい」と答えていたこと。時代錯誤の男女対抗を続けるNHKへの、さりげないが、根本的な疑義だった。
 その年末年始、3週合併の日程を活用して暮れにがんの手術をした。同時期に入院した某有名アナと同じがんの種類だが、私は摘出までせず、簡易な手術で年末には復帰。二度の入院・手術の2018年が終わり、19年はもう少し業務に専念できればと願う。色々ご心配をおかけしましたが、本年もよろしくお願いします。(山村清二)

▼生家が「箱根駅伝」の鶴見中継所からほど近い、駅伝コース沿いにあるため、まだテレビ中継のない幼少のころから、タスキをつなぐ選手の姿を目にしてきた。私にとって正月に欠かせない風景であり、1年で最も興奮する愉しみな2日間。ここ数年は箱根の健保組合の保養所に宿をとり、妻とともに箱根の山を登り下りする選手たちに声援を送ってきたが、今回は経営危機への対応に追われ、宿の手配どころではなかった。それでも初日の往路は沿道に繰り出し声を張り上げ、電車を乗り継ぎ、結局箱根まで向かってしまった。
 今年は青山学院大学の5連覇がかかるなか、卒業校である東海大学が初めての総合優勝を果たした。"青学一強"とされるなかでの勝利は、まったくの想定外で1月とは思えない暖かな陽気のなか身体が震えた。きっと良い年になるはずだと、後輩たちの走りに感謝して祝杯をあげた。(町田明穂)

▼来週号(1月18日号)の特集は「バナナ」です。ただいま鋭意製作中ですが、関連イベントをご紹介いたします。
 1月15日(火)18時30分~20時30分、アジア太平洋資料センター(PARC)による「現地調査報告会:フィリピン・バナナ生産の真実」が開かれます。住友商事系のバナナブランド「スミフル」のバナナ農園で働く労働者たちが会社から受けている人権侵害や解雇の実態を報告します。スミフルといえば日本で売られているバナナの7割を占めており、誰もが絶対食べたことがあるはず。フィリピンで起きていることは、決して日本人にとって無縁ではないと思います。参加費は一般1000円、PARC・FoE Japan会員500円。会場は連合会館(JR御茶ノ水駅、地下鉄新御茶ノ水駅・淡路町駅・小川町駅より徒歩3~5分)。(渡辺妙子)