人権NGOが日本政府を批判――「国連勧告の実施を」
2014年9月19日12:45PM
国連人種差別撤廃委員会がヘイト・スピーチの規制、差別禁止法の制定などを勧告(8月29日)したのを受けて、国内の人権団体で組織する人種差別撤廃NGOネットワークは9月2日、東京・永田町の参議院議員会館で報告会見を開き、日本政府に対して勧告内容の速やかな実施を求めた。
対日審査(8月20日、21日)を傍聴した同ネットワークの小森恵さん(反差別国際運動事務局次長)は、「日本が1995年にこの条約に加入してから今回で3回目の審査となるが、この間、問題はほとんど改善されていない」とし、日本政府の姿勢について人種差別撤廃委の委員が懸念と苛立ちを表明していることを指摘した。
ヘイト・スピーチについては、弁護士で外国人人権法連絡会の師岡康子さんが勧告内容を評価し、「差別禁止法の目的は弱い立場におかれた集団の保護であり、自らの意見を表明したり権利の実現を求める集団に不利益をもたらすよう使われてはならない」とするバスケス委員の発言を紹介。自民党ヘイト・スピーチ対策検討プロジェクトチームの8月28日の会議で「国会周辺のデモ規制を検討する」旨の意見が出たことに同連絡会として「不適切」とする声明を出したことを明らかにした。
会見には国会議員として初めて対日審査を傍聴した糸数慶子、有田芳生両参議院議員も出席。糸数議員は「琉球・沖縄」に関する勧告内容に触れ、米軍基地の問題とヘイト・スピーチにつながる差別・支配の構造を指摘。有田議員は「日本に差別はない」などとする日本政府の姿勢に疑問を投げかけ、「秋の臨時国会に人種差別撤廃基本法案を提出すべく準備している。これを日本の人権状況を変える一歩としたい」と述べた。
このほか、国内人権機関、個人通報制度、朝鮮高校無償化問題、部落問題などについてそれぞれの代表が勧告内容の実現を求めた。
(片岡伸行・編集部、9月5日号)