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小嶋進さん(元ヒューザー社長)、再審請求へ──『週刊新潮』が掲載しなかったコメント全文掲載
2015年4月28日3:22PM
2005年に発覚した耐震偽装事件で、強度不足を知りながらマンションを顧客に販売して代金をだまし取ったとして、詐欺の有罪(執行猶予付き懲役3年)が確定したマンション企画・販売会社「ヒューザー」(倒産)の小嶋進元社長(61歳)が東京地裁に再審を請求する予定だ。再審請求に必要な新証拠も見つかったという。
小嶋元社長は、一連の経過をつづった電子書籍『偽装──「耐震偽装事件」ともうひとつの「国家権力による偽装」』(kindle版、金曜日)を今年4月に出版しており、そのなかでこう強調している。
「たとえ無実でも、社会的に抹殺されてしまうことがあるのだ――。そんなこの事件の真実と本質を、無念の思いを込め、記録として遺しておくことに決めました」
「これから本書で明らかにしていく事実が、これまでテレビや新聞で報道されてきた『耐震偽装事件』の内容とはあまりにもかけ離れていることに、読者の皆さんはきっと驚かされることでしょう。私を断罪する一方で、警察や検察、報道機関が犯した数々の失態の責任は、すべてうやむやにされています」
「これは、私ひとりの問題では決してないと思います。記録として遺すことで、二度と私のような目に遭う人間が現れないために、私のとんでもない体験を役立てたい」
ところが、この小嶋さんの思いを冷やかす記事を『週刊新潮』(酒井逸史編集・発行人、5月7・14日号)が掲載した。夜間に自転車を押しながら歩いている小嶋さんを、本人の了解を得ずにこっそり撮影し、〈冤罪のヒーローとして脚光を浴びるつもりなのだ〉と書いたのだ。(記事によると、写真撮影者は大橋和典氏)
小社は、小嶋さんの本を出版した関係から、4月25日(土)午後9時43分に届いた『週刊新潮』からの質問を小嶋さんに取り次いだ。そして、翌26日(日)午前11時14分に小嶋さんからのコメントを『週刊新潮』に送った。
字数の関係上、小嶋さんのコメントがすべては掲載されないことは当然だろう。しかし、掲載されなかった部分が多い。そこで、小嶋さんの了承を得たうえで、「質問」と「回答」の全文を公開する。小嶋さんの誠実な態度がこの回答にも示されている。
(伊田浩之・編集部)
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【『週刊新潮』からの質問】
(1)再審請求への思いをお願いします
(2)事件前と現在の生活(給料や食事、着る物など)はどう変わりましたか
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【『週刊新潮』への回答】
(1)再審請求への思いをお願いします
私は「耐震偽装」に全く関与していないにもかかわらず有罪とされ、地位も名誉も奪われました。しかも、私が罪に問われた「詐欺」容疑とは、警察と検察の証拠捏造によるものでした。「偽装をさせてマンションを売った」からではなく、耐震偽装の発覚後も「マンションを引き渡して残金を受け取った」から、というものです。でも、この容疑自体が、耐震偽装の「小嶋首謀説」を完全に否定しているわけです。
私は無実を晴らすため、『偽装――「耐震偽装事件」ともうひとつの「国家権力による偽装」』という電子書籍を出版しました。警察や検察、報道機関、裁判所が犯した失態をうやむやにはさせまいと、その責任を問うものです。一体どちらが「詐欺師」なのか、まずは読者に判断してほしいと思っています。
その上で、命のある限り、再審請求し続ける覚悟です。開かずの門だろうと、死ぬまで叩き続けるつもりです。
(2)事件前と現在の生活(給料や食事、着る物など)はどう変わりましたか
今はマンション管理の仕事をしています。ペンキ塗りやごみ掃除などをして、どうにか生計を立てています。
天が私に課した使命とは、プライベートジェット機に乗って世界を遊び回ることではなく、泥まみれになって己が作ったマンションの溝を浚い、入居者に気持ちよく生活してもらうことだと、今は思っています。さらには、「公正であるべき裁判の不公正」という社会の不条理に一石を投じることだと思っています。
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