小池都知事が情報公開と公文書管理で安倍自民党を牽制
2017年6月27日12:28PM
野党の加計学園疑惑追及が安倍政権を直撃、東京都議選(6月23日告示、7月2日投開票)にも波及し始めた。自民党を離党した1日に「都民ファーストの会」代表となった小池百合子東京都知事は、安倍政権の情報公開が不十分と指摘、都議選を「(政策決定過程)ブラックボックス化の自民党対情報公開の小池新党」の対決構図と位置づけ、3日と4日の応援演説でも加計疑惑に触れたのだ。
有権者の反応も上々。離党前の世論調査では自民党「17%」に対して都民ファーストの会「11%」とリードを許していたが、離党後はほぼ拮抗・逆転するまでに追いついた。都議選の帰趨を決める七つの1人区で小池新党が圧勝、自民党惨敗の可能性が高まった。12日の『週刊現代』に「都民ファースト5→46議席、自民57→37議席」という予測が出たのはこのためだ。
加計疑惑をめぐる安倍政権の対応批判に手応えを感じたに違いない小池知事は、9日の定例会見でも情報公開の重要性をこう訴え、都政と国政を対比してみせた。
「今回の第2回定例議会において、一つは情報公開の条例の改正、二つ目が公文書の管理徹底の条例成立ということです。まさしくこういった点が今、国会の場においても『文書があるのないの』とか、『共有がどうなっているの』とか、そこに注目がいっているわけです。基本的に記録は残す。そして、重要な文書については、所管課限りでなく他部署が関与するダブルチェックにより廃棄するというのが、今回の公文書管理のポイントにもなっているわけです。行政である以上はしっかりと情報の管理、公文書の管理をするというのは当然の話だと思います」
【国政との挟み撃ちを図る】
「東京大改革の一丁目一番地は情報公開」とする小池都政と連動するように、民進・共産・自由・社民の4野党も9日、公文書管理法改正案を衆院に共同提出した。政府機関や独立行政法人の職員が書いた個人メモも行政文書として扱い、電子データは削除せず保存するという内容で、提出者の今井雅人衆院議員は「行政が管理しないといけない文書が破棄され、国民の権利が毀損されている」と必要性を訴えた。今井氏は民進党の加計学園疑惑調査PTの共同座長だ。
情報隠蔽のアベ自民党を国政と都政から挟み撃ちにする形となる中、小池氏は10、11日も2週連続で都内11カ所を回って応援演説。情報公開の重要性を強調しつつ、加計疑惑に触れる街宣を繰り返した。特に10日には、元文部科学大臣の下村博文自民党都連会長の地元・板橋区に駆け付けた。
「都連会長(下村元文科大臣)は文科行政に最も詳しい人だ。教育行政はどうあるべきか。このこともまず情報公開から始めなければいけない」「事務次官まで務めた人(前川喜平氏)が顔をさらして伝えている。そのためにはいかに公文書を管理するか(が重要)で、東京大改革の土台。その土台の都議会を変えなくてはならない」
小泉政権下で環境大臣を務めた小池知事は2005年の小泉郵政選挙を参考に、「(政策決定過程)ブラックボックス化の自民党イエスか、ノーか」「アベ友ファースト自民対小池新党など非自民」の“情報公開選挙”を都議選で仕掛ける可能性が高まったと言える。
「都民ファーストの会」幹事長に就任した野田数前代表も1日の総決起大会で、「(国政の)文書管理や情報公開の杜撰さを調べた上で都政で見本を示すという考えがあるのか」との質問にこう答えた。
「恐らく東京都で情報公開をさらに加速化させていくと、それは国であろうが、他の道府県であろうが、方向性としては情報公開の方向にベクトルが向かっていくのではないかと思っております」
都議選を情報隠蔽の安倍政権に「NO!」を突きつける場にする狙いと、「東京から国政(安倍政権)を変える」という意気込みがみえてくる。公文書管理法改正案を提出した野党と連動、都議選の構図がそのまま次期総選挙に持ち込まれる可能性も出てきた。小池新党は国政進出まで見据えているのではないか。
(横田一・ジャーナリスト、6月16日号)