安倍首相の政治団体が「アベ本」を4000冊以上購入、有権者に無料配布の疑いも
2017年8月3日12:17PM
安倍晋三首相が代表の政治団体「晋和会」と「自民党山口県第4選挙区支部」が、2012年~13年に、安倍氏を賞賛する内容の著書を、政治資金で大量に購入していたことが、政治資金収支報告書や領収書の調査で発覚した。“アベ本の爆買い”は、確認できたものだけで4130冊。疑わしいものを含めると6900冊に及ぶ。
問題の本は、2012年9月4日幻冬舎から発刊された『約束の日 安倍晋三試論』(本体1500円)だ。著者は小川榮太郎氏。
「晋和会」の2012年分政治資金収支報告書や領収書によると、10月16日に丸善書店で900冊を約140万円で購入。翌月11月9日に、紀伊國屋書店新宿本店で900冊、丸善日本橋店でも140冊を購入したとある。
さらに、11月9日は、版元の幻冬舎でも買っている。領収書に書名が明記されていないので断定はできないが、194万4654円の支払いは『約束の日』購入代とみてよいだろう。この日はさらに、有隣堂(横浜市)や文教堂(港区)でも約20万円から30万円の「書籍」を買っている。これも『約束の日』だろう。11月9日だけで2600冊を買った計算だ。
一方「自民党山口県第4選挙区支部」の2013年分政治資金収支報告書と領収書には、13年1月24日に紀伊國屋書店新宿本店で『約束の日』2000冊を315万円で買ったと記載されている。
寄付や政治資金パーティの収入を原資とする政治資金を何に使おうが、政治的・倫理的問題はあるにしても基本的に自由だ。しかし、安倍首相の場合は違法性を問う余地がある。アベ本購入の名目は「調査研究」だが、有権者らに無料配付された可能性があるからだ。公職選挙法の寄附の禁止に触れる恐れがないか。
爆買いは何のためか。安倍晋三事務所からの回答は、「政治資金規正法にのっとり、適正に処理しています」とするだけだった。
(三宅勝久・ジャーナリスト、7月21日号)