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東京都迷惑防止条例が成立
本当に「デモや報道取材は対象外」になるの?

薄井崇友|2018年4月16日5:14PM

条例改正案が可決された3月29日夜に都議会前で「この条例こそ迷惑」「賛成議員は恥を知れ」などとコールし抗議する人たち。(撮影/薄井崇友)

3月29日、東京都迷惑防止条例改正案が都議会本会議で日本共産党などを除く賛成多数で可決された。その瞬間、議事堂の傍聴席から「反対」の怒号が響いた。

施行日は7月1日。この条例改正は、悪意の感情などの内面の問題が「警察の恣意的判断に委ねられてしまう」と危惧され、「デモや報道取材、SNSでの表現」にも取り締りが及ぶとの懸念が市民の間に急速に広まった。

2月に反対の声明を出した自由法曹団東京支部によると、反対の署名は3月16日から3日間ほどで2000筆に及んだという。

3月19日の委員会審議は僅か1時間。質疑した共産党の大山とも子議員が問題点を厳しく指摘し、「電子メールやSNSなどの連続送信」「みだりにうろつくこと」など、取り締りの追加部分を「デモや報道取材には適応しない」との答弁を提案者の警視庁から引き出した。傍聴した自由法曹団メンバーの舩尾遼弁護士は「実質的に骨抜きになった。デモも報道取材も臆せずやってほしい。不当な事態には自分たちが駆付ける」と閉会後に廊下で話した。

反対する市民からは「1時間の審議はあまりに短い。対象外とした答弁が明文化されていない」などの不安の声が多く聞かれた。

29日の本会議の討論では、都民ファーストや民進、公明などの会派が「デモや報道取材は対象外」とした答弁と「濫用防止規定」があることを理由に賛成。反対した共産党は「市民運動、労働運動、取材活動は本条例の対象外との答弁はあったが、条例本文には書いていない」とし、反対する市民たちの不安を代弁した。

22日の委員会採決では共産党以外は全会派が賛成だったが、29日の本会議では共産党に加えて他党の3議員が反対に廻った。

反対した生活者ネットワークの山内れい子議員は「この改正がなぜ今なのか理解できない。都民の声に真摯に応えた」。維新の会のやながせ裕文議員は「反対の声に対して審議が尽くされていない」と閉会後の取材で述べた。共産党の大山議員は「可決された今、濫用を皆さんとともにしっかり監視し、主張は正々堂々としていくことだ」と話した。傍聴した女性から「立憲民主党(会派は民進・立憲民主)の都議に話し理解して貰えた。声を上げると同時に議員を動かさないと」との声があり、反対した立憲民主党の西沢けいた都議に翌日取材した。「会派は賛成し紆余曲折したが、28日夜の都連の決定(反対)を含めて、皆さんからの声を重く受け止め熟慮して判断した」とのこと。

都議会総務課によると一般傍聴者数は159名(席数186)で関心の高さがわかる。条例改正案は可決されたが、今回の草の根の声を濫用防止の監視にもつなげたい。

(薄井崇友・フォトグラファー、2018年4月6日号)

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