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「安倍軍拡」で自衛隊は専守防衛から外征へ

土岐直彦|2018年5月18日5:18PM

憲法9条改悪を視線の先に「軍事大国」化を進める安倍政権の6年間をたどる「『安倍軍拡』の深層を読む」と題した講演を軍事ジャーナリスト、前田哲男氏が4月21日、京都市内で行なった。長距離巡航ミサイル導入や護衛艦「いずも」の空母化といった動きは、自衛隊を専守防衛から外征型に変貌させるとの危機感を示した。

前田氏は安倍晋三首相が進めてきた軍拡の「手口」について、安全保障政策の変更をまず私的「有識者懇談会」に諮問して公的装いを施し、懇談会報告は国会審議を経ず閣議決定で承認。長官をすげ替えた内閣法制局で合憲の理由付けを得て、国会で強行採決するパターンと解説。その上で、北朝鮮の脅威を煽る「国難」キャンペーンとJアラート連発だと指弾する。

安倍軍拡・改憲の企図は3段階。2013年、戦時内閣的な国家安全保障会議(日本版NSC)設置、特定秘密保護法制定、武器輸出の可能化などで「外堀埋め」。14・15年、集団的自衛権の行使容認、戦争法の強行可決、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)改定などで「内堀攻め」。18年にかけて軍事大国化の「実施段階」に。南スーダンPKOに「駆け付け警護」の任務付与、年々増大する約5兆2000億円の防衛予算、地方5方面隊の指揮を一元化する「陸上総隊」を創設しての日米の軍事的一体化促進など。改憲へ積み上げられてしまった安保政策をしっかり把握することの大事さを述べた。

そこへ、民進党国会議員への自衛隊3等空佐の暴言。前田氏は、1938年の帝国議会で、国家総動員法の説明員で出席した陸軍中佐が、長広舌を野次った議員に「黙れ!」と一喝した事件を想起させると文民統制の綻びを指摘した。

前田氏は「東アジアは『対話』に向かっており、安倍内閣は改憲の体力はもはやない。退陣を迫り、それに代わる政府が何をなすべきかが問われてくる」と展望した。

(土岐直彦・ジャーナリスト、2018年4月27日号)

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