これが入管、長期収容ごまかしの実態!
深刻化する健康問題
週刊金曜日取材班|2018年10月12日11:20AM
法務省入国管理局の施設における被収容者の長期収容の実態が、9月18日に東京都内で開かれた集会で明らかになった。「日本政府・入管は内外公約を守れ」と題する集会は、「長期収容に反対する全国ネットワーク」主催。近年、長期収容が急増する中で、同省は、被収容者が施設を移されると収容期間を“リセット”して計算し、それによって収容期間を短く見せ、長期収容の実態をごまかしてきた。
初めに集会で報告をした「仮放免者の会」の宮廻満さんによると、チャーター機での強制送還が始まった2013年から、これまでは通算で計算されてきた収容期間が各施設における計算に変わった上、特に16年から収容が長期化している。そこで、福島みずほ議員が法務省に通算の収容期間について回答を求めたところ、今年7月31日時点での実態が明らかになった。
それによると、3年以上の長期収容は、全体の被収容者数1309人中20人にもおよぶ。施設ごとに計算していた昨年12月19日時点では1386人中3人だった。さらに2年以上3年未満は通算で117人だったのに対し、施設ごとでは17人しかいなかった。
宮廻さんは、「10年に法務省は、収容が長期化しないように仮放免(人道的配慮から収容を一時的に解くこと)を弾力的に活用する(仮放免を増やす)ことを公約しているが、現在それは守られていない。地方入管が特に顕著で、名古屋では昨年4月から仮放免がまったく出ていない」と話した。難民申請者が収容されているケースもあるが、難民認定を得るためには本人に立証責任があるとされるのにその準備もできない、施設を移されると距離的な問題で家族との面会が困難になるなどとも訴えた。6カ月以上の長期収容になると、拘禁反応を発症する人も多いという。
仮放免者の会顧問の指宿昭一弁護士は、「日本人や在留資格のある外国人と結婚し、子がいない人でもこれまでは在留許可が出ていたが、最近は子がいてもなかなか出ない」と説明。トルコのクルド難民として救済を求めて日本にきたが夫が約1年8カ月収容されているという3人の子を育てるクルド人女性は、「夫は悪いことしてないのに収容されて、面会に行っても30分しか会えない。毎日心配している。疲れた」と涙を流した。
(本誌取材班、2018年9月28日号)