石破茂氏、安倍改憲案を一刀両断
「整合性がない」
伊田浩之|2019年7月12日5:22PM
7月21日投開票の参議院選挙で、安倍晋三首相が憲法改正を声高に訴えている。7月11日は激戦区の大分選挙区で次のように強調した。
〈「(自衛隊をめぐる)憲法論議に終止符を打つ。しっかりと憲法に、自衛隊を明記する。未来に向かって、子供たちのために勇気を持って堂々と議論を進めていく」〉(産経デジタル)
参院選の自民党公約では具体的な改憲案には触れてはいないものの、安倍首相は「憲法9条2項を維持したまま自衛隊を明記する改憲を目指す」などと言い出している。
この安倍改憲案を批判しているのが、石破茂・元自民党幹事長だ。『週刊金曜日』7月12日号に掲載されている岡田憲治・専修大学教授(デモクラシー論)との対談で一刀両断にした。
〈岡田 9条に3項をプラスする安倍改憲案は憲法破壊ですね。憲法の法理を完全に失わせるものです。
石破 9条1項2項との整合性がわからなくなりそうです。
岡田 そう、憲法の規範力を完全に破壊するものです。
石破 だから私は相当嫌がられても、ずっと平成24年(2012年)の自民党案との整合性を党内で問うています。総理は「加憲するだけでその他は変更ない」という趣旨のご答弁をされてきましたが、自民党の憲法本部で提示された案は9条1項2項を3項の範囲で無効化するような書きぶりで、総理のご答弁とも整合性がない〉
自民党の変質
さらに石破氏は自民党の現状についてもこう危機感を唱える。
「私たちが先輩に教わり、受けついできた自民党がいま、変わりつつあるのではないか、谷垣総裁のもとで作った綱領(2010年)にはこう書いています。〈勇気を持って自由闊達に真実を語り、協議し、決断する〉〈多様な組織と対話・調整し、国会を公正に運営し、政府を謙虚に機能させる〉」
「だから『こんな人たち』と分断するようなことを言ってはいけない。政府は公共財だから、『こんな人たち』のためにも極左の人のためにも政府はあるんです」
議会制民主主義の危機にわたしたちはどう向き合えばよいのか。石破氏と岡田氏の分析は、『週刊金曜日』7月12日号に掲載された「リベラル復権」に掲載されている。
(伊田浩之・『週刊金曜日』編集部)