違法な「闘鶏」の禁止求める陳情を沖縄県に提出
岡田千尋|2019年7月29日10:24AM
逃げ場のない小さな囲いに雄の軍鶏を入れ、闘わせ、致命傷を負わせ、金をかけ、楽しむ。闘鶏は環境省が定める定義によれば、動物を闘わせる虐待にあたり、動物愛護法に違反し、罰則もある。金をかけていれば違法賭博(刑法185条)でもある。
しかし闘鶏は今も沖縄をはじめ各地でコソコソと行なわれている。しかも沖縄の場合、闘鶏に使われてボロボロになった鶏が多数遺棄され、問題になっている。闘鶏に使えない雌の鶏や、咬ませ犬的に使われた蹴爪や嘴を切られた雄も捨てられる。
これらの鶏を昨年から保護している沖縄の動物保護団体・クックハウスがこれまでに保護した数は150羽以上にのぼる。中には頭部から血を流していたり、目が潰れていたり、眼球がなかった鶏もいる。両足をビニールテープで縛られた状態で捨てられることもある。救助された時には死んでいたり、治療や救護の甲斐なく苦しみ抜いて死んでいった鶏も多数いる。違法であるため、夜中に捨てられ、襲われてしまうことも多い。身動きを封じられたり致命傷を負わされているのだから生きていけるはずもない。
違法である闘鶏がなぜ続くのか。文化だと主張する人もいるかも知れないが、闘鶏は沖縄独自のものではなく、またコソコソ行なうものを文化とは呼ばない。そして沖縄の多くの人は闘鶏という暴力を楽しむのではなく、平和を好んでいる。しかしこれだけおおっぴらに犯罪を犯す要因は、見て見ぬふりを続ける地域性にありそうだ。違法行為をなくすためには、沖縄県が闘鶏にNOの立場を明確にする必要がある。クックハウスは県に「闘鶏を禁止する条例の制定を求める陳情」を提出した。審議は今県議会でも決着せず継続となった。早急に非人道的な行為を、終わらせてほしい。それは動物のためだけでなく、人の社会をも穏やかにするはずだ。
(岡田千尋・アニマルライツセンター代表、2019年7月12日号)