〈レベル7スクープ〉福島県、東電に津波対応催促していた
脱原発弁護団全国連絡会|2019年8月2日6:37PM
2008年ごろ、福島県が東電に対して、津波の想定見直しを2回にわたって要請していたことが、福島県の開示文書や、東電の社内文書から明らかになりました。事故前に、県が東電に津波のことを問いただしていたことがわかったのは初めてです。
同年5月の最初の質問に対して東電は09年6月までに津波評価を含むすべての結果を報告するとしていました。しかし、同年8月31日に津波対策の先送りを決めた後の同年12月の福島県からの要請に対しては、前年07年7月に発生した新潟県中越沖地震で、柏崎刈羽原発が想定を超える揺れに襲われたことを耐震バックチェックに反映するという名目で、報告を先送りにしました。
このことにより、映画『東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故』にも登場する2009年2月11日に開かれた「中越沖地震対応打合せ(通称・御前会議)」の資料にあった東電社員の書き込み「問題あり だせない(注目されている)」の主体は福島県である可能性が高まりました。
県の担当者は、設置許可(1966年)では3.1mの津波しか想定していないのに、2002年に5.7mに引き上げられ、国の設置許可と齟齬(そご)が生じていたことから、気になっていたといいます。
サイエンスライターの添田孝史さん、フリーライターの木野龍逸さんによるスクープです。詳しくはレベル7東電原発事故の事実を伝えるサイト(https://level7online.jp/)をご覧下さい。
原子力事業者の設置変更許可申請や規制委員会の審査において、そして、原発の差し止めを求める裁判における裁判所の判断は、まるで、大きな地震や巨大噴火は来ないだろうとの俗説に従っているかのように見えます。しかし、3・11前、上記東電内部では、長期評価にもとづく15.7mの津波予測に対して、確たる根拠もなく、そんな高い津波は来ない等と言っていたら、実際にはそれより高い津波に襲われたのです。
自然の驚異には真摯に向き合い、一定の根拠のある自然災害の予測は謙虚に受け止めることが、福島原発事故の教訓です。
(脱原発弁護団全国連絡会、2019年7月26日号)