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化学物質過敏症などで進学困難な中学生が文科省に要望書
加藤やすこ|2019年8月6日10:09AM
電磁波過敏症(EHS)と化学物質過敏症(MCS)を発症している小林悠汰君(15歳)は来春、中学を卒業し、高校への進学を希望しているが、病気が原因で通えそうな高校が見つからない。
悠汰君がEHSを発症したのは、小学校3年生の頃だ。地デジ対応テレビを見ていて、突然、頭痛やめまい、嘔吐、腹痛が起き、その後、化学物質にも反応するようになった。柔軟剤や合成洗剤などから発生する香料(化学物質)が体調不良の原因になる。
現在通っている静岡県内の中学校は学校無線LANを導入していたが、悠汰君に配慮して、入学前に無線設備を撤去し、有線LANに切り替えた。
その他にも授業中に蛍光灯を切るなど、細やかに対応してくれたが、1年生の夏に体調が悪化して通学できなくなり、自宅で訪問学習を受けている。ファクスを使って、わからないところを先生に質問し、クラスメートと日々の出来事を伝え合っている。
通信制高校への進学を考えているが、インターネットやテレビ、ラジオを通じての勉強や、交通機関や自家用車での移動も困難だ。化学物質にも反応するので、試験会場やスクーリングの教室に入ることもできない可能性がある。
内閣府は、EHSもMCSも障害者差別解消法の障がい者として認められうるという見解を示している。障がい者が求めれば自治体は合理的な配慮を提供しなくてはいけないが、過敏症の子どものために特別支援教室を作ってほしいと頼んでも開設まで2年以上かかったり、学校側の無理解によって体調が悪化する例が全国で起きている。
また、文部科学省は障がいのある子どもも、ともに学ぶ「インクルーシブ教育」を目指すが、学校環境は化学物質や電磁波などさまざまな環境因子に溢れているのが現状だ。
そこで悠汰君と両親は、今年7月1日付の文科省への要望書で、教員の訪問による学習や自宅での試験・スクーリングの実施など代替案の提示や、過敏症の子どもたちに対して学校や教育委員会が行なっている具体的な対策例などの情報提供を求めた。