藤田孝典氏の「性産業廃止論」めぐり性風俗業当事者らが討論集会
崎山勝功|2020年10月30日4:55PM
社会福祉士で反貧困ネットワーク埼玉代表の藤田孝典氏が「ツイッターで『夜の仕事』差別発言をした」とされることをうけて、コロナ禍で困窮する性風俗産業労働者らを支援するフリーター全般労働組合とキャバクラユニオンが10月3日、東京都内で性風俗業当事者らを交えた討論集会を開いた。
同労組によると、藤田氏は今年7月10日以降ツイッターで「補償があろうがなかろうが、風俗、水商売は営業せず、店にも行かないで」などと投稿。同労組は「性風俗産業労働者の自己決定権や尊厳を傷つける」「政府や自治体による『夜の仕事』への差別扇動に積極的に加担」と批判し、9月15日付で団体交渉申入書を藤田氏に送付したが、期限日の10月1日までに返答がなかったという。
集会では一連の藤田氏のツイートを受けて、セックスワーカー女性(30代)が、セックスワーカーを「包丁振り回している人たち」扱いした藤田氏を「反貧困活動家の人がそれを言っちゃダメだろ」と批判。同ユニオンの布施えり子共同代表は「(年越し)派遣村をやっていた人がやる事とは思えない。『死ね』と言ってるようなもの」と補償無しでの休業強要を問題視。「性産業廃止」が持論の藤田氏に対し「夫からのDVを逃れて風俗で働いている人もいる」と、性産業が「一種のセーフティーネット」と化している現状を明かした。
セックスワーカー支援団体「SWASH」の要友紀子代表は、相談者と支援者が共依存関係になりやすい危険性を指摘し「誰かに依拠して共依存するのではなく(相談者が)自分で考えて答えを出すサポートをするのが支援者」と説いた。
藤田氏は10月12日、筆者にメールで「性産業廃止論をめぐっては面会希望が多いため、個別の団体、個人と会うことは一切していません。一団体、一個人と会うと全員に向き合わなければならず、キリがないというだけです」と答えた。
(崎山勝功・元『常陽新聞』記者、2020年10月16日号)