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東京五輪開催に美術運動で抵抗
「五輪終息宣言展」が示すものとは
アライ=ヒロユキ|2021年3月5日6:58PM
東京オリンピック(五輪)開催に反対する市民の声は日増しに高まっているが、その表現を芸術表現の観点から眺めると、全体に慎ましく「わきまえた」印象が強い。だが、そうした中でも強く「抗う」姿勢の表現運動も生まれている。2月6日から14日まで東京都内で開かれた美術展「オリンピック終息宣言展2021」がそうだ。
「芸術だけが、オリンピックの息の根を止められる」(宣言文より)と謳った本展は三つのパートから構成されている。まず本体となるのが企画者・戸山灰氏の呼びかけに参集した作家23人による展示。二つ目は東京五輪検証などの政治的企画だ。戦前からの五輪の足跡を印した「遺跡MAP」や年表、森喜朗語録の付箋紙による貼り出しなど「矛盾の可視化」を主眼とした展示をイケガミアツコ氏が編集。日本学術会議会員の任命拒否問題での抗議声明も発表した。
三つ目は問題提起の講演会だ。ゲスト講演者に哲学者で「オリンピック災害おことわリンク」の鵜飼哲氏、「反五輪の会」のいちむらみさこ氏、そして筆者(アライ)の3人。鵜飼氏はドイツの戦前と戦後に開かれた二種の五輪の国家主義的共通性を示し「五輪は本質的に差別と抑圧性をはらむ」と指摘。いちむら氏はリオデジャネイロ五輪の際に見られた貧困層への抑圧の実態を当時の現地体験から語り「東京も同種のことが進行中」と指摘。筆者は「現在の芸術表現は検閲と翼賛に蝕まれており、根底に女性差別と天皇制(ネオ国家神道)崇拝がある」と指摘した。
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