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『フジサンケイビジネスアイ』休刊
『産経』の源流ついに終焉
岩本太郎|2021年3月23日4:59PM
経済紙『フジサンケイビジネスアイ』(旧『日本工業新聞』)が近々休刊すると、ニュースウェブサイト「FACTA オンライン」が3月4日付で報じた。親会社の産経新聞社広報部は同日、同記事の内容について「当社から発表したものではありません」と公式発表したが、休刊がグループ内で検討されていることは認めた(※編注)。
同紙は『産経』の源流とも呼ぶべき媒体だ。1933年に『日本工業新聞』として創刊され、第2次世界大戦中の42年に愛知以西の複数の経済紙との統合で『産業経済新聞』(後の『産経新聞』)に。戦後は新たに設立された「日本工業新聞社」が58年に『日本工業新聞』を立ち上げ『産経』との“僚紙”的な関係を維持してきた。過去には森喜朗氏(元首相)や斎藤貴男氏(ジャーナリスト)が記者として働いていたこともある。
だが同紙はその後、労使紛争や経営難に揺れた。2003年には産経新聞社が日本工業新聞社を子会社化し、翌年同紙を『フジサンケイビジネスアイ』に題号変更のうえ紙面刷新したものの以後も苦戦続き。07年11月には編集部門が産経新聞社経済本部と一体化され、09年には産経に吸収合併(翌年に完全子会社の現「日本工業新聞社」を設立)という経緯を辿った。
筆者(岩本)は05年10月から2年4カ月間、同紙でメディア業界の動向についての連載記事を担当した。ただし08年2月、『産経新聞』OBの日隅一雄弁護士(12年に死去)ほかが立ち上げたネットメディア「NPJ(News for the People in Japan)」をそこで取り上げようとしたところ、原稿を読んだ産経経済本部の担当者に「ウチのスタンスと真逆だ」と掲載を拒まれ、連載を打ち切られていた。
その連載のタイトルは「マスメディア構造改革」。今回の産経広報部による公式発表に、同紙休刊について「当社グループの構造改革の中で検討はしています」とあったのには皮肉を感じた次第だ。
(岩本太郎・編集部、2021年3月12日号)
(※編注:その後、3月15日に、6月30日付での休刊を正式発表)
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