原発事故から10年、食品放射能基準値の緩和狙う自民党
市民は反対署名募集中
渡辺妙子|2021年3月31日4:51PM
食品に含まれる放射性物質の基準値を緩めようとの動きが自民党から出ている。同党「食品等の出荷制限の合理的なあり方検討PT(プロジェクトチーム)」(座長:根本匠元復興大臣)による案だ。
現在、食品に含まれる放射性物質については基準値が厚生労働省により定められ、一般食品では100ベクレル(1キログラムあたり=以下同じ)を超えるものは出荷してはならない。これは原発事故直後に内閣府が定めた暫定基準値(500ベクレル)を経て2012年4月に採用された数値だが、今回の自民党PT案は野生の山菜・キノコやジビエなど日常的に食べないものについて、基準値を1000ベクレルまで緩める(引き上げる)としている。
この1000ベクレルというのはFAO(国際連合食糧農業機関)などが設立した政府間組織のCODEX(国際食品規格)委員会が定めている基準値だ。しかしCODEX委は食品の国際貿易に関する取り決めを作る機関で、国内生産・流通する食品へその基準値を適用することには疑問の声もある。