「デジタル庁」発足に法律家グループが意見書 「特別の監視機関が必要だ」
佐藤和雄|2021年9月7日3:31PM
菅義偉首相が看板政策として掲げ、先の通常国会で成立を強行した「デジタル改革関連法」に対し、弁護士たちでつくる「デジタル監視社会に反対する法律家ネットワーク」(以下、法律家ネットワーク)が8月25日、記者会見を開き、関係省庁へのヒアリングを踏まえた意見書を発表した。法成立以前から警戒と反対の声を上げ続けてきた法律家ネットワークは「個人情報保護委員会による監視・監督に加えて、別個の独立した専門の第三者機関を設立」して、情報・捜査機関を含む政府の活動を厳しくチェックするよう求めている。
記者会見では、「共謀罪対策弁護団」共同代表の海渡雄一弁護士や個人情報保護法制に詳しい三宅弘弁護士らが、意見書や関係省庁ヒアリングの内容を説明した。
【利権構造の「巣」に】
今回の記者会見でのニュースの一つは、9月1日のデジタル庁発足に向けて準備してきた内閣官房情報技術(IT)総合戦略室などへのヒアリング結果だった。海渡氏の説明によれば、民間企業から128人が「週2日程度の非常勤」で雇用されるという。
海渡氏はこう危惧を語った。
「(同庁の職員は)民間と国の両方に勤める。国のために働くのか、自分の組織のために働くのかが、非常にあいまいになるのではないか。NTTの幹部が総務省幹部と会食しただけで問題になっていたのに、IT企業に属したままデジタル庁で働く。情報が筒抜けになってしまう。これで癒着が避けられるのか。利権構造の巣になってしまうのではないか」