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原子力賠償審査会で意見陳述――自主避難者への補償を
2011年11月9日6:21PM
文部科学省で開かれた原子力損害賠償紛争審査会で一〇月二〇日、自主避難者の補償を求める意見陳述が行なわれた。これまでに審査会は、政府が避難指示を出した地域等を対象に中間指針をまとめ、自主避難については一定の時期で線引きをする方向性を示していた。
これに、陳述者は不合理を訴えた。瀬戸孝則福島市長は、自主避難者と経済や仕事等の事情で避難できず残った人を区別すれば地域の亀裂が増すと語った。子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの中手聖一氏は「事故当初、福島では放射能汚染についての情報がないまま、『ただちに影響がない』という政府の言葉が権威をもって信じられた。ガソリンや水を得るために子どもたちが放射能汚染された野外に並び、避難者が責められた。しかし『年一〇〇ミリシーベルトまで大丈夫』と県の依頼で講演した専門家の言葉を『一〇ミリの間違いだった』と県が訂正した頃から行政への信頼が失われ、自主避難への理解が深まった」と線引きすべきでないと述べた。
北海道に家族で避難した宍戸隆子さんは「自分たちの危険を感じながら(津波被害者の)対応に追われ避難できなかった人もいる」と線引きの惨さを語り、命を守る権利を認めてくださいと訴えた。
これらの訴えに審査会長の能見善久学習院大学教授は、「自主避難者も賠償されるべき。残っている人も同時に検討したい」と結んだ。
(まさのあつこ・ジャーナリスト、10月28日号)