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匿名活動家に「覚悟」はあるのか――在特会に「もの申す」集会

2012年5月29日5:52PM

 ジャーナリスト安田浩一氏の近刊『ネットと愛国――在特会の「闇」を追いかけて』(講談社)の出版記念シンポジウム「この本に異議あり! 安田浩一(朝鮮人?)にもの申す!」が、五月一二日、東京都内で開かれた。主催は主権回復を目指す会(西村修平代表)。

 本書は、街頭で「ゴキブリ朝鮮人は国に帰れ!」などと罵る「在日特権を許さない市民の会」の桜井誠(本名・高田誠)会長や会員の生い立ち、行動の動機などに迫ったルポルタージュ。同シンポは、書いた安田氏と書かれた在特会らが激しく意見をぶつけ合うことが予想されたが、実際は「本書に寄り添うような内容になり驚いた」(参加者)ものになった。  

 というのも、当の在特会からの参加者数はゼロ。参加を呼びかけた西村氏によると、桜井氏はシンポ前日に代理人を通して「不参加」を告げてきたという。西村氏は「拒絶されるのは非常に残念」と肩を落としたが、安田氏は「ボイコットも表現の一つ」と理解を示した。

 当然ながらシンポは拍子抜けし、歴史認識や「在日特権」についての議論は多少あったものの、主題は「言論の覚悟」に移った。

 新攘夷運動排害社代表・金友隆幸氏は「既存の右翼保守は建前と本音を分けている。それでは現実は動かない」と、街頭で過激な行動をする意義を語った。また、「脱原発ハンスト」などを決行してきた我道会会長の山口祐二郎氏は「公安が右翼と飯を食うことも、在日が生活保護を不正受給することもすべて無駄金」と、社会の不条理にものを言う姿勢を強調した。

 西村氏は「桜井氏はじめ在特会は通名を使い、自分を安全圏に置きながら運動をしている」と批判。ロート製薬を脅したとして五月一〇日付で逮捕された元在特会幹部の西村斉氏についても「愛国者としての責任を感じているのか」と疑問を呈した。

 安田氏が「在特会を育てたのが西村さんでは」と投げかけると、西村氏は「若い活動家たちを養子にしたつもりだったが、実際は“発達障害児”だった」と述べた。

(野中大樹・編集部、5月18日号)

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