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高濃度が続く福島県渡利・大波――除染の限界は明らか
2012年12月12日6:36PM
東京電力福島第一原発事故以来、政府だけでなく多くの市民団体やNPO法人が、空間線量の計測や、モニタリングポストの検証を実施している。
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)と国際環境NGO FoE Japanは共同で昨年六月以来、福島市内で空間線量が高い渡利地区と大波地区を継続して監視している。両団体は今年一一月一五日、参議院議員会館で、最新データである今年一〇月一四日の測定結果や現状分析を発表した。
渡利地区は福島県庁や福島駅から二km程度の場所にある住宅街。住宅街を通る用水路中央部で毎時四・四マイクロシーベルト(μSv/h)、水路西側で三・七μSv/h、水路東側で三・五μSv/hを観測した。
大波地区は福島駅から一〇kmほどの距離にある農村。S氏宅では昨年一二月に除染を実施した直後は庭で〇・五~〇・六μSv/hだったが、今回の調査では〇・七~〇・八μSv/hだった。除染後再び空間線量率が上昇している。両地区は、チェルノブイリ原発事故後のベラルーシやウクライナの「避難の権利ゾーン」に該当するレベルだという。
また、大波農村広場は除染土が入るコンテナバッグの仮置き場となっているが、バッグの上面が開放状態のものもあり管理状態が悪く、二次汚染の可能性が指摘された。両団体は、除染は計画通り進んでおらず、かつ、除染の効果はきわめて限定的であるとし、住民の避難・保養などの被曝防護策を再構築すべきだと訴えた。
選挙期間中であろうが、汚染は続く。住民には行政へのあきらめムードが漂っているという。政策の見直しは必至だ。
(赤岩友香・編集部、11月23日号)