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「日本財界のフィクサー」が早期釈放の可能性も――許永中受刑者が韓国に移送

2013年1月24日6:05PM

 戦後最大の経済事件イトマン事件で逮捕され、「日本財界のフィクサー」と呼ばれていた許永中氏(六五歳)が二〇一二年一二月中旬、服役していた栃木県黒羽刑務所を出て、韓国に移送されていたことがわかった。韓国への移送は、許受刑者の希望で、国際受刑者移送法により、祖国である韓国で刑に服することが認められたもの。同法は、滅多に適用されることがないため、軽犯罪者ならともかく日本を揺るがした大事件の受刑者に適用されたことは異例と言えよう。

 許受刑者は、大阪府の商社イトマンを舞台にした不正な絵画取引などで総額三〇〇〇億円が闇に消えたといわれるイトマン事件と、一七九億円の手形詐欺事件である石油卸商社・石橋産業事件で有罪となり黒羽刑務所に服役中だった。戦後の在日韓国人差別の中で次第に山口組と関係ができ、やがては代議士との親交まで囁かれる裏経済のフィクサーとして認識されるようになった人物だ。

 許受刑者には持病の心臓病があり、石橋産業事件の二審判決時(二〇〇六年一月)に、意識混濁に陥り、裁判が一時休止されるというハプニングがあった。病状を危ぶむ声がある一方で、本人はエコや環境問題に取り組み、ビジネスでもう一旗あげたいと周囲に述べたという。夢を熱く語るときは非常に意気軒昂であると日本国内で面会していた関係者は語る。

 この年末年始を、韓国・仁川の収容所に一時留め置かれた状態で過ごした許受刑者は、今後収監される韓国国内の刑務所が決定するのを待つ。

 日本では、二〇一四年九月に刑の満期を迎える予定だった。しかし、国際受刑者移送法には「裁判国と執行国の双方が特赦、大赦、減刑ができる」とする規定(二五条)がある。執行国となる許受刑者の祖国・韓国で、規定に基づいた早期釈放という目が出てくるかもしれない。

(編集部、1月11日号)

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