日本人の呼びかけで反対行動――ソウルで反韓に声上げ
2013年6月18日4:54PM
五月一九日、韓国・ソウルの光化門広場に「在特会の反韓デモに反対します」とのプラカードが掲げられた。特定の民族や人種を差別、侮辱するヘイトスピーチ(憎悪表現)を日本各地で繰り広げる「在日特権を許さない市民の会」(在特会)に対するものだ。日本人の呼びかけで、光化門、明洞などソウル市内の繁華街で行なわれた。
呼びかけ人となったのは、南ソウル大学で助教授を務める櫻井信栄さん。日本で反対行動が盛り上がりを見せていることを知り、四月には東京・新大久保に赴いた。しかし、毎回日本に帰って反対行動をするわけにもいかず、韓国で行動を起こすことを思いついたという。「この問題をさらに多くの人に知ってもらい、反対する声があることを知らせ続けることが必要」と語った。
在特会に関するニュースは韓国でも注視されている。大手放送局のKBSは「日本の極右団体デモは度を超えている」と指摘。『ソウル新聞』も「健全なナショナリズムの域を超え、極端な民族差別主義に変質したもの」とした。
韓国国内での報道もあるためか、一九日の反対行動時には、「在特会のニュースは見たことがある。しかし、個々人の力は弱いのでは」と指摘する市民の姿も。「国家主義や民族主義が通用する時代ではない」と、冷静に事態を分析する声もあった。
韓国では現在、二人以上のデモは許可制であることから、同日の反対行動は各自が散らばって繁華街の街頭でプラカードを持つという行動にとどまった。櫻井さんは、「警察や他の団体から干渉を受けるのを避けるため、運動体は作らずに今の自由なゲリラ的手法を続けていく」と意気込みを話した。当初は一人で始めた韓国での反対行動だが、ツイッターでの呼びかけにより、同日は数人が加わった。今後も、「在特会問題の解決と日韓友好に寄与」していく考えだ。
(渡部睦美・編集部、5月24日号)