ワタミ過労自殺遺族ら――自民党に公認撤回など要請
2013年7月19日12:11PM
「自民党は公認を取り消せ!」「ブラック企業の経営者を取り締まれ!」――東京・永田町の自民党本部(自由民主会館)へ向けてシュプレヒコールが響いた。参議院選挙公示前の六月二八日、飲食店チェーン「ワタミ」の創業者で参議院選挙比例区から出馬予定の渡邉美樹氏(五三歳)の公認撤回を求め、過労死遺族の森豪さん・祐子さん夫妻が自民党本部を訪問。全国一般東京東部労働組合をはじめ支援者ら百数十人が支援に駆けつけ、敷地への立ち入りを拒否する同党担当者との間で門前は一時騒然となった。
居酒屋「和民」で正社員として働いていた森さん夫妻の娘・美菜さん(当時二六歳)は、厚生労働省の過労死ライン(月八〇時間の時間外労働)をはるかに上回る月一四一時間の残業を強いられ、入社からわずか二カ月後の二〇〇八年六月、過労自殺に追い込まれた。昨年二月に労災認定されたが、ワタミフードサービスは過労自殺の責任を認めることなく、渡邉会長自身もいまだに面談も謝罪も拒否しているという。
森さん夫妻は同日、「自民党国会議員各位」宛の要請文を持参。要請文では「こんな無責任な経営者に国会議員になる資格があるのでしょうか?」と問いかけた上で、▼公認の撤回▼ブラック企業対策、過労死防止対策への取り組み――の二点を求めている。
しかし、自民党側は参院選挙とは無関係の施設管理の担当者が「敷地に入るな!」と威圧的に繰り返したあげく、門前払いしようとした。支援者らの抗議を受けて森さん夫妻と東京東部労組の須田光照書記長を建物に入れたものの、不誠実な対応に終始した。
美菜さんの遺影を抱いた森さん夫妻は「誠意ある対応を期待したが、残念」と涙をにじませた。遺族と支援者らの怒りの声は「自由民主党選挙本部」の垂れ幕が掲げられた自民党本部に向けられた。
(片岡伸行・編集部、7月5日号)