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ひげの隊長・佐藤正久氏――防衛省に向け「改憲」絶叫
2013年7月24日4:22PM
エジプトで軍事クーデターが起きた翌日の七月四日、東京・市ヶ谷の防衛省正門前の路上(一部防衛省管理地)で奇妙な光景がみられた。陸自元1佐の佐藤正久参議院議員候補(自民)の出陣式がこの場所で行なわれ、佐藤氏が防衛省に向かって「憲法改正」などを絶叫した。自衛隊に大事なのは「誇りと意地」だ、軍隊化が必要だ――といった趣旨のことを、歩道上に置いたビールケースの上から拡声器の大音量で約五分間述べた。
現場には陸自OBを含む一〇〇人ほどの支援者が集まっていた。彼らの誰も佐藤氏の正面にはおらず、両脇に集まっているだけだった。佐藤氏の視線は正門に向いていて、正門の奥には制服の陸上自衛官らおよそ一〇〇人が整列して聞いていた。演説が終わり、「勝つぞ!」と三度叫ぶと制服自衛官らは拍手でこたえた。
佐藤氏は二〇〇七年夏の参院選に初出馬。その際、当時の陸上幕僚長や航空幕僚長ら制服組の最高幹部が続々と献金をした。佐藤氏の著書を陸海空で約四〇〇〇冊も買ったほか、旧陸軍の将校団体にルーツを持つ偕行社と自衛隊が連携して選挙を支えた。組織的に特定候補を応援した自衛隊法違反の疑いが濃厚だが、不問となった。
このときの支援者のひとり森勉元陸幕長は、ミサイル利権を享受する三菱電機の顧問に天下りし、政治団体「佐藤正久後援会」の代表となった。出陣式には、額賀w志郎・衆議院議員(元防衛庁長官)とともに森氏の姿もあった。
憲法を遵守する職業的義務を持つ自衛官らに対し、憲法を変えるべきだと自衛隊元幹部の候補者が訴える。日本でなければ反乱教唆と受け止められかねないきわどい行動だ。「政治的目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用」は自衛隊法施行令八七条で禁止。制服組幹部の関与と黙認なしにこんな大胆なことができるものか。
(三宅勝久・ジャーナリスト、7月12日号)
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