阪急トラベル不当解雇事件――塩田さん職場復帰が確定
2013年8月23日6:31AM
旅行添乗員の長時間・過重労働是正を求める闘いを進めていた全国一般東京東部労組阪急トラベルサポート(HTS、本社・大阪)支部の塩田卓嗣委員長が、阪急交通社の子会社である阪急トラベルサポートから受けた一方的な「アサイン(仕事割り当て)停止」を不当労働行為だとして争ってきた事件で、七月二六日、東京高裁での組合側勝利和解により塩田さんの職場復帰が確定した。
塩田さんは本誌二〇〇九年二月二〇日号に掲載された派遣添乗員の労働実態に関する記事に登場したことで同年三月、事実上の解雇を受け、労働委員会や裁判で撤回を求めて闘ってきた。
HTS側は、これを不当労働行為と断じた東京都労働委員会(二〇一一年二月)と中央労働委員会(同年一一月)の各命令に従わず、中労委命令取り消しを求める行政訴訟で、会社請求を棄却した東京地裁判決(今年三月)にも異議を唱えて控訴。しかし、東京地裁は判決と同日、「争いを続けたとしても労働委員会の命令は守れ」との「緊急命令」を発し、HTS側は五月になってこの緊急命令に従う旨を表明していた。
これを受け、七月に始まった控訴審で東京高裁は和解を勧告。二六日に、塩田さんの職場復帰を確認する和解が成立した。塩田さんは近日中にも添乗を再開する。
一人の派遣労働者が不当な扱いに屈することなく労働組合で闘い続け、職場復帰を勝ちとった意義は非常に大きい。ただ、同社は「事業場外みなし労働」(偽装みなし労働)撤廃を求める不払い残業代請求訴訟については、高裁判決を不服として上告中。派遣先である阪急交通社の団体交渉拒否問題では、同社が中労委命令を不服として行政訴訟を提起している。組合側では塩田さんの職場復帰を契機に、すべての闘いに勝利する決意を改めて固めている。
(菅野存・全国一般東京東部労組委員長、8月2日号)