「ブラック企業大賞」が決定――大賞はワタミに
2013年9月6日5:24PM
働く者に劣悪な労働を強い、その人権と生存権を脅かす「ブラック企業」。この年間ワーストを選出し、“表彰”する「ブラック企業大賞2013」の授賞式が八月一一日に東京都内で開催され、大賞以下各賞が発表された。
「ブラック企業大賞」は、労働問題の専門家らで組織した「ブラック企業大賞実行委員会」(筆者も参加)が昨年より企画・実施。第二回となる今年は、ワタミフードサービス、クロスカンパニー、ベネッセコーポレーション、サン・チャレンジ、王将フードサービス、西濃運輸、東急ハンズ、東北大学の七社一法人をノミネートしていた。
実行委員会が合議のうえ選出する「大賞」は、二〇〇八年六月に入社二カ月の社員が過労自殺したワタミフードサービスが受賞。同社は昨年も一般投票で選ばれる「市民賞」を受賞しているが、その後も自らの安全配慮義務違反を否定し、遺族への謝罪も拒否しているほか、当時の責任者である渡邉美樹前会長が七月の参院選に立候補するなど真摯な反省が見られない点が受賞理由となった。ワタミは昨年に続き一般投票でも全体の七割を超す圧倒的な票を集め、「一般投票賞」(「市民賞」を改称)とのダブル受賞となった。
ノミネート企業のうちワタミを含む五社一法人は過労死・過労自殺者を出した企業。このうち東北大学は、〇七年一二月と一二年一月に教職員二人を過労自殺させていることから、「特別賞」が授与された。
そのほか、メディア戦略により「女性が働きやすい企業」とのイメージを作りつつ、〇九年一〇月に女性店長を過労死させていたクロスカンパニーにはアパレル業界を代表して「業界賞」が、「人財部付」なる部署を違法な退職勧奨の場(追い出し部屋)にしていたベネッセコーポレーションには「教育的指導賞」が与えられた。
(古川琢也・ルポライター、8月23日号)