ロヒンギャ男性がくも膜下出血で――入管収容直後に急死
2013年11月8日12:11AM
東京入国管理局(東京都港区)に収容されていた、ミャンマーで迫害を受けるロヒンギャ民族のアンワール・フセインさん(五八歳男性)が一〇月一四日、くも膜下出血で亡くなった。難民認定申請中だったが、収容された九日に倒れ、東京都内の病院に入院していた。
滞在外国人の当事者団体である仮放免者の会が得た複数の被収容者の証言をもとに親族が九日の経緯をただしたところ、入管は以下を認めた。午後一二時二〇分頃、フセインさんが意識不明であることを職員が確認し、同四七分に独居房に搬送。医師にみせたのは一三時一一分。同一五分に医師の指示で救急車の出動要請をしたのは、容態の異常を認識してから約五五分も経過した後だった。
この間、医者を呼べとの被収容者たちの再三の要求に、職員は「医者は食事中」「てんかんだろう。大丈夫」などと答えたという。意識不明の人を目の前にして即座に救急車を呼ばない対応は異常というほかない。フセインさんは口から泡をふき、痙攣していたともいう。対応の遅れは、入管組織の人命軽視の体質の表れであると同時に、医療従事者でない職員による診療の要不要の判断が横行する、ずさんな医療処遇の結果でもある。
また、退去強制令に服さない者の心身を収容によって痛めつけて「帰国」へと追いこむという入管の退去強制執行のあり方も問われなければならない。出入国管理及び難民認定法は「退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで」収容することができると定めている(第五二条五項)。しかし、フセインさんは難民認定審査中であった。そのうえミャンマー当局が、国籍付与の対象から事実上排除しているロヒンギャ民族の送還に応じるとは考えられない。東京入管は現実的に「送還可能のとき」がくる見込みのない人を収容したのであり、これは拷問としての収容と言うべきである。
(永井伸和・仮放免者の会、10月25日号)