“のりこえねっと”が昨年振り返りシンポ――反レイシズムで社会の合意を
2014年7月2日10:18AM
6月11日、反レイシズムの風が東京・千代田区の明治大学に吹き寄せた。差別を扇動するヘイトスピーチに対抗する団体「のりこえねっと」主催で「のりこえシンポ」が開かれ、主に首都圏で活動するメンバーなどが一堂に会した。
のりこえねっとの辛淑玉・共同代表は冒頭で、のりこえねっとが確認できただけで昨年のヘイトデモ件数は360件以上にのぼったと報告。ただ、「360件でおさまったのは、たくさんの人たちがカウンター活動をしたから」とした。
第1部では各団体からの活動報告、今後の展望が示された。「レイシストをしばき隊」を母体にしてできたC.R.A.C.(Counter-Racist Action Collective)の野間易通さんは、ヘイトデモに反対するカウンターの動きに関し、「これまでとの違いは、集まる人のほとんどがマジョリティーである日本人」と話した。ヘイトスピーチの蔓延は「民主主義の危機」との認識だ。
「超圧力」で在特会(在日特権を許さない市民の会)のヘイトデモを止めていくと意気込む男組の高橋直輝さんは、「今後は地方にウエートを置いた活動をします」とした。カウンター活動の周知に力を入れる女組の山下歩さんは、4カ国語で書かれた宣伝のカードを紹介。6、7月には都内で展示会を開く予定だ。差別反対東京アクションの石野雅之さんは、「人種差別撤廃都市宣言を都議会で採択させたい」と、今後の見通しを語った。
第2部では石坂啓・本誌編集委員、寺脇研・京都造形芸術大学教授、ラテン歌手でジャーナリストの八木啓代さんが鼎談。八木さんは、「セクハラ、パワハラはいけないというコンセンサスができてきたように、今後は(レイシズムに対して)レイハラは恥ずかしいという認識を作っていくべき」と主張。寺脇さんは「誤読と曲解でデタラメなことを言う人たちに対抗するためには、対抗する側ももっと学ぶべきことがある」とした。
(渡部睦美・編集部、6月20日号)