天皇批判の市民を公安が尾行――「不敬罪」を意識か
2014年7月3日6:22PM
天皇に対して沿道で抗議の意思表示をした東京都の市民が、公安の私服刑事による尾行・つきまといで嫌がらせを受けているとして、「立川自衛隊監視テント村」など94団体(個人賛同は414人)は5月31日、警察に対し尾行の中止を求める共同声明を発表した。
東京・三多摩地区のAさんは昨年10月7日、天皇が第68回国民体育大会のボクシング競技を観戦するため地元を訪れた際、自治体が「お出迎え」や「お見送り」を呼びかけ、「日の丸」の旗を沿道の住民に配布したことに疑問を持ち、天皇の車が通過した際に「もう来るな」と書かれた布を表示した。
Aさんの証言によると、「その瞬間、30人近い私服警官に取り囲まれた」という。「何の容疑でこんなことをするのか」とAさんは抗議したが、警官らから回答は得られず、約30分にわたり路上で拘束された。数日後には公安と見られる私服警官が24時間態勢で自宅周辺を監視。外出時も一人から数人の尾行がつきまとい、時にはわざと1、2メートルの距離まで接近して「あんなことをしたんだから、ずっとつきまとってやる」などと暴言を吐いたという。
さらに私服警官が職場まで押しかけて外からAさんの実名を呼び、「いるんだろう」などと大声をあげるなど嫌がらせはエスカレート。身の危険を感じたAさんは、東京弁護士会に対して人権救済の申し立てを行なった。問題を重視する「救援連絡センター」など市民団体も5月31日、「尾行・嫌がらせを即刻中止するよう警視庁公安部に強く要求する」との共同声明を発表、6月末まで賛同を募っている。
Aさんは「5月になって露骨な尾行は減ったが、まだどこかで監視しているのでは」と不安を抱きつつ、「公安は戦前の『不敬罪』と同じ発想で、『天皇』批判者に懲罰を加えているつもりなのだろう。こんなことが許されていいはずがない」と語る。
(成澤宗男・編集部、6月20日号)