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ガーナ人の強制送還死亡事件――検審「不起訴相当」

2014年11月28日12:16PM

ガーナ国籍のアブバカル=アウデウ=スラジュ氏(享年45)が、2010年3月22日、強制送還のため飛行機に乗せられた際、東京入国管理局所属の入国警備官から激しい制圧を受けて死亡した事件で、千葉第二検察審査会は10月28日、特別公務員暴行陵虐致死罪で書類送検され千葉地検が不起訴にした入国警備官9人に対し、「制圧行為は正当業務行為の範囲」だったとして不起訴相当とする決定を出した。

事件をめぐっては今年3月、遺族が起こした国家賠償請求訴訟で国の責任を認める判決が東京地裁で下された。裁判の中で国側は「死因は心臓病」との主張を展開したが、判決は「過剰な制圧による体位性窒息」と判断した。この判決を受けて遺族は今年4月、検察審査会に対して「不起訴不当」の申し立てを行なった。

しかし同審査会は、東京地裁の事実認定を無視して「心臓病」だと決めつけた。

スラジュ氏は日本人の妻と約20年にわたって日本で暮らしていたが、不法滞在だとして退去命令を受け、強制送還のため成田空港に連行された。

その際、両手両足を縛られたまま入国警備官らによって機内に担ぎこまれ、▼7~8人がかりでシートに押さえつける、▼ズボンのベルトと両手を結束する、▼タオルで猿ぐつわをする、▼力ずくで前屈させる――といった暴力的な制圧を受け、死亡した。スラジュ氏が意識を失って航空会社の職員から搭乗拒否が告げられた後も、入国警備官らは「詐病」として救命措置をしなかった。

国賠訴訟は控訴審が東京高裁で係争中。国側は勝又義直・元科学警察研究所所長や岩瀬博太郎・千葉大学大学院医学研究院教授の意見書を証拠で出し、死因は生前発見できなかった心臓疾患だと主張している。

岩瀬教授は司法解剖の執刀医で、当初は「頸部の圧迫や鼻腔部閉塞による窒息死の可能性」との所見を出していた。

(三宅勝久・ジャーナリスト、11月14日号)

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