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原発産業と最高裁の不適切な関係――元判事が東芝に天下り
2011年6月12日12:54PM
四国電力伊方原発一号炉と東電福島第二原発一号炉に対する設置許可処分取り消しを求めた二件の裁判(一九七二~七五年にかけて提訴)で、最高裁第一小法廷が「国の設置許可に違法性はない」として住民側敗訴判決を下したのは九二年一〇月。その時の判事のひとり、味村治氏(故人)が、原発メーカー東芝の社外監査役に天下っていたことがわかった。
味村氏は東京高検検事長や内閣法制局長官を経て九〇年に最高裁判事となった。そして退官後の九八年、東芝社外監査役に就任する。
東芝は沸騰水型原子炉の開発元である米ゼネラル = エレクトリック社(GE)と明治時代から深い関係にあり、事故を起こした福島第一原発や訴訟対象の福島第二原発一号炉を含めて多数の原発設備工事を受注してきた国内有数の原発メーカーだ。問題の判決があった九二年頃は、チェルノブイリ原発事故(八六年)の影響で脱原発の世論が高まっていた時期。だが「原発は安全」とする判決がお墨付きを与えた格好となり、その後の原発ラッシュを後押しした。
伊方と福島の原告団はそれぞれの裁判でこんな指摘をしている。
(1)「想定外」の災害が起きる危険、
(2)圧力容器や格納容器が壊れる可能性、
(3)耐震設計が甘すぎる、
(4)使用済燃料プールの脆弱性――。
現在福島で起きている現象を的確に予言しているが、裁判官はこれらの警告を無視同然に扱った。
「原発は安全」判決を下した最高裁判事は、味村氏のほか小野幹雄、大堀誠一、橋元四郎平、三好達――の各氏。また東芝役員に天下った高級官僚や大学幹部は、現職取締役の平林博・元外務省フランス大使、佐々木毅・元東大総長など過去六〇年間で二〇人。司法・警察官僚では、筧榮一・元検事総長、清水湛・元広島高裁長官、新田勇・元大阪府警本部長がいる。
東芝は取材に「法律の専門家としての幅広い実績と識見に基づき、当社の経営に適切な監査を行なっていただくことができるため(採用した)」「裁判官はその良心に従い独立してその職権を行なっており監査役就任に当たって問題はない」(広報室)と応えた。
(三宅勝久・ジャーナリスト、6月3日号)
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