週刊金曜日の記事を理由にした添乗員の不当解雇事件にご支援を!
2009年5月1日2:17PM|カテゴリー:ニュース続報|admin
代表取締役社長 佐高 信
全国一般東京東部労組
執行委員長 岸本 町雄
登録型派遣で働く旅行添乗員の過酷な労働環境と労働組合結成の経緯を取り上げた『週刊金曜日』(2月20日号)が「虚偽」だとして、大手旅行会社「阪急交通社」の子会社で、添乗員を派遣する「阪急トラベルサポート」は3月18日、取材に応じた同社所属の添乗員で、全国一般東京東部労組HTS支部の執行委員長である塩田卓嗣さん(46歳)に対して「抗議文」を手渡し、「今後、添乗業務のアサイン(仕事の割当)をしない」と事実上の解雇処分を通告しました。
塩田さんは2007年1月、労働条件の改善を求めて仲間たちと全国一般東京東部労組HTS(阪急トラベルサポート)支部を立ち上げました。同支部を紹介した記事(執筆者・ライターの野村昌二さん)をめぐり、同社は「抗議文」の中で、日当の額や雇用保険加入の有無、添乗員が体調を壊して亡くなったとの記述などを「虚偽の事実」とし、「当社の名誉を著しく傷つけ、正常な業務の運営を妨害するもの」と指摘しています。しかし、著者の野村さんと出版社の金曜日に対して抗議などはしていません。
同社が問題視している記述はいずれも組合結成前の過酷な労働条件を説明した上で、同社に勤務する前の出来事(添乗員の死亡)について語ったものです。しかし、会社側は意図的にそれを現在の労働条件とは違うなどとして記事は「虚偽」との言いがかりをつけています。登録型派遣の添乗員にとって「アサイン停止」(今後の添乗業務を与えない)は解雇と同じ意味を持ちます。
この間、派遣添乗員の待遇改善を先頭でたたかってきた同支部委員長の塩田さんを見せしめにした「組合つぶし」であり「不当解雇」であるのは明らかです。「言論の自由への挑戦」でもあります。
東部労組と同支部はただちにアサイン停止=解雇処分の撤回を会社側に求めましたが、同社は拒否の姿勢を崩していません。また、記事の発行元である金曜日が同社に電話で抗議したうえで面会を求めたのに対して、同社東京支店の田中和男支店長は「会う必要はない」などと拒否しました。
このため3月23日には塩田さんを含む組合側、ライターの野村さん、発行元の金曜日側が同社東京支店を訪れて、あらためて面会を求めましたが、「会えない」という対応に終始しました。その際に会社に渡した週刊金曜日の抗議文に対しても「筋違い」など、不誠実な対応を行ってきました。
同社の今回の措置は、出版社やライターを飛び越えて、インタビューに答えた労働者本人のクビを直接切ることで、企業への批判や不満の声を上げることそのものを萎縮させるのが最大の目的です。こんなことが許されれば、働く者にとって言論の自由が奪われます。
東部労組は法的措置を含めたあらゆる手段をとるとともに、金曜日やメディア関係者らと協力しながら社会的な批判を同社に集中し、不当解雇の撤回・塩田さんの職場復帰を求める方針です。
また週刊金曜日もこのような会社に対し言論の自由を守る立場から、厳しく対応していきます。
労働組合つぶし、言論の自由・報道に対する重大な挑戦でもある今回の不当解雇事件について、私たちは今回の不当な解雇事件について「文化人・言論人一言アピール」運動を行い、いただいたアピールを冊子やチラシにして配布あるいは会社に突きつけることで、会社を社会的に包囲していく取り組みを行っていきたいと思っています。つきましては、この行動の呼びかけ人をお引き受けいただければ幸いです。ぜひご支援をお願いいたします。
呼びかけ人・賛同人一覧(名前五十音順)
呼びかけ人
雨宮 処凛 ( 反貧困ネットワーク副代表、『週刊金曜日』編集委員)
聞いた時、これじゃあもう誰も声を上げられなくなる、と思った。というか、私の取材が誰かの仕事を奪うことになるのであれば、自分自身がもう「取材」そのものができなくなる、とこんなことを放置していれば何も書けなくなり、言えなくなる。すべての書き手の問題であり、こんな「見せしめ」に私は絶対に屈したくない。
宇都宮 健児 ( 弁護士、反貧困ネットワーク代表、『週刊金曜日』編集委員 )
取材に応じた塩田さんをいきなり解雇するやり方は、卑怯であり、許せない。
言論の自由に対する重大な挑戦だ。
佐高 信 ( 評論家、『週刊金曜日』発行人・編集委員)
私はもともと平和主義ですが、売られたケンカは買わざるをえません。最低でも、相手と刺し違える覚悟でやります。「阪急」創始者の小林一三が泣いているのではないでしょうか。
中島 岳志 (北海道大学准教授、『週刊金曜日』編集委員 )
労働者に対する不当な処遇というだけでなく、ジャーナリズムの根本を崩しかねない極めて悪質な行為だ。
大阪人として「阪急」というブランドに信頼と親しみをもっていただけに、裏切られたという思いが強い。
湯浅 誠 ( 反貧困ネットワーク事務局長)
告発したら解雇とは筋違いも甚だしい。解雇撤回するまで、内部の労働運動とともに、「阪急トラベルでは旅行しない」という市民の包囲が必要と思います。