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781号の注目記事

■田中美津、『1968』を嗤う

小熊英二氏による『1968』の下巻「結論」前の最終章にあたる17章はリブと田中美津論を展開している。だが、本人取材をまったくせずに資料の切り貼りで書かれたその内容は、田中美津本人が「誤読と捏造による無惨な労作」と称するもの。その「誤解と捏造」部分について、田中美津自身が詳細に指摘する、単なる間違い探しではなく、なぜ違うのかという点について、鋭い観察力から自らを含め客観的かつ重層的に人間を描くことにより、知られざる「田中美津とリブ」の一面が明らかになった。

■佐藤優の歴史人物対談 12
 山川均と語る
 たわいもない失望は不見識の告白

政権交代から約一〇〇日が過ぎた。大衆は新政権になにを期待しているのか。
そして、その大衆の当面の要求に新政権は応えているだろうか。
私たちの生活はいよいよどたんばに追い詰められてきたが、
政権の中心である民主党はどのような政策を採るべきなのか。
柔軟な思考で日本的社会主義への進路を示した山川均に聞く。

■本多勝一ロングインタビュー
「俺があのルポを書いた時」
 聞き手/構成 烏賀陽 弘道

ベトナム戦争から東西冷戦の崩壊、そしてネット右翼の台頭する今日の日本社会まで、本多勝一本誌編集委員がルポルタージュを通して向き合ってきた時代とは――。ジャーナリストの烏賀陽弘道がきいた。

■書評委員が選んだ
2009年のベスト本20冊!
北原みのり/五所純子/陣野俊史/本橋哲也

■制度の狭間で置き去りにされて
  障害者手帳を持てない難病患者の厳しい就労状況
山下 淳巳

「国から手厚く保護されている」と思われがちな難病患者だが、障害者手帳を持てないことで、その就労支援は事実上{置き去り}にされている。「雇用開発協会」という名ばかりの天下り公益法人に税金が使われてきた現状から、難病患者に必要とされる支援へと、転換が求められている。

年末カンパ呼びかけ
不当解雇撤回めざす塩田さん

本誌の取材に応じたことで阪急トラベルサポート㈱から事実上の解雇処分(アサイン停止)を受けた旅行派遣添乗員の塩田卓嗣さん(四六歳)は、解雇撤回と職場復帰を求めて東京都労働委員会に不当労働行為救済申し立てをしているが、塩田さんの所属する全国一般東京東部労働組合(菅野存委員長)では、塩田さんへの「年末カンパ」を呼びかけている。
 塩田さんが無期限のアサイン(仕事割り当て)停止されたのは三月一八日。翌月に雇用保険の仮給付を申請し、五月には不当解雇撤回を求めて都労委に申し立てをした。雇用保険給付はこの一一月で終了。現在、生活の見通しが立たない状況だ。その中で、来年二月二三日には都労委での第一回審問が控えている。「長期戦の構えで闘う。ぜひご支援を」(菅野委員長)と呼びかけている。
 現金書留で全国一般東京東部労働組合「塩田さんカンパ」係(東京都葛飾区青戸三―三三―三 野々村ビル一階)宛か、郵便振替(口座番号・00180―3―88328、加入者名「全国一般労働組合全国協議会東京東部労働組合」、通信欄に「塩田カンパ」と記入)で。問い合わせは東京東部労組(電〇三・三六〇四・五九八三)へ。

片岡伸行・編集部

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780号の注目記事

■一三年前に引き裂かれた町は今
 名護市長選と普天間基地
 平井 康嗣

自民党政権時代の日米合意が、民主党連立政権を揺るがしている。
米軍普天間飛行場のある宜野湾市と移設予定先の辺野古地区を抱える名護市をリポートする。

■佐高 信 対談
 日本を何とかしよう5
 民主党前最高顧問 渡部恒三

鳩山政権の支持率は各世論調査で六割前後で推移している。「事業仕分け」で注目を集めるなど国民の期待は高いが、今後の課題はなにか。「落選と首相以外はすべて経験した」政界ご意見番に見通しを聞いた。

■清水康之さん 自殺対策支援センター・ライフリンク代表
 生きづらさの正体を明らかにしたい
 聞き手 北村肇 本誌編集長

自殺者が一一年連続三万人を超える国、日本。何が原因なのか、どうすればよいのか。
番組制作をきっかけにNHKを退職して、自殺対策支援のNPOをつくり、法律策定に尽力。
現在は、内閣府参与として、当事者本位の対策をめざす清水康之さんの「生きる支援」とは。

■政治主導で一部開放された大臣記者会見
 見え隠れする情報統制の思惑と求められる記者団体の設立
 塚田 和

鳩山政権が掲げる「政」主導の政策決定は、週二回(原則として火・金曜日)の閣議後に開かれる記者会見の在り方にも及んでいる。
新聞、放送記者が中心だった大臣会見に、一部ではフリーやネット記者らも参加し、質問をぶつける風景が日常化しつつある。一方、
一斉に廃止された各省庁の事務次官会見は復活の見通しはない。情報発信を「政」に絞ることによる情報統制の思惑も見え隠れする。

■きんようぶんかインタビュー
 森功
 聞き手 佐高信

でたらめな航空行政
その象徴がJALの破綻

■天皇在位二〇年
 皇室の混迷とこれからの役割
 天野恵一・千本秀樹・吉田裕
 司会 成澤宗男

一一月一二日、明仁天皇が即位して満二〇年の慶祝行事が行なわれた。この間、皇室の情況にも国民の意識にも変化が起っている。皇室典範の改正すら行なえないまま、これからの皇室と天皇制はどこへ向かうのか。

■浮躁中国22
 同じ歳月、それぞれの今日
 本田 善彦

中国の建国六〇周年は、台湾から見れば国民党政権が台湾に退いて六〇年でもあり、
中台問題六〇年でもある。両岸の六〇年は、今後、どのように作用していくのだろうか。

第20回「週刊金曜日ルポルタージュ大賞」佳作入選作

修復的正義は機能しないのか
~高知県警白バイ事件の真相究明を求める~ 

 山下由佳

 平成一八年三月三日、高知県春野町で、スクールバスと県警交通機動隊の白バイが衝突して隊員が死亡した交通事故をめぐり、業務上過失致死罪で禁固一年四カ月の実刑判決を受けた片岡晴彦さんの冤罪の訴えが繰り広げられている。この事故処理と裁判の経緯については、ブログや雑誌やテレビ報道によって、全国で「合理的な疑い」が湧き起こり、ありのままの事件の真相究明が要請されている。
 筆者も、県内の人権活動仲間から救援依頼の手紙を受け取って後、さらに、事件を雑誌『冤罪File』で知って以来、支援者達と同様の疑問を抱き、現在、学術調査研究中。筆者の最大の疑問は、対向車線遠方から事故の一部始終を目撃したとして、裁判で証言台に立った同僚隊員の証言の信憑性である。というのも、高知県の交通機動隊の損害賠償事案の人身事故は年間一件程度であり、ましてや死亡という特殊なケースである。確率論から考えても、あまりにもできすぎた偶然だと思うからだ。同僚の市川幸男隊員の「私は白バイが時速六〇km、バスが時速一〇kmで動いて衝突するのを目撃した」との供述が、片岡晴彦さんの有罪を確定させた。
 片岡晴彦さんは昨年、高知県警を「証拠隠滅罪」で告訴。その不起訴処分に対して、検察審査会は、平成二一年一月二八日、捜査不十分と「不起訴不当」決定。その後、検察庁の再不起訴処分を経て、現在、被告高知県知事や県警本部長以下の関係者に対する一〇〇〇万円の「国家賠償請求事件」が係争中。また、事故処理から裁判経緯に納得がいかない片岡晴彦さんは再審請求を準備中である。
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第20回「週刊金曜日ルポルタージュ大賞」審査員特別賞入選作

マハラバの息吹―もうひとつの1960年代―

 藤井孝良

 コンクリートの岸辺に打ち上げられた魚。
 舞台の上の「彼ら」の肉体は演技としての動きを超えた生々しさがあった。どんな名役者であったとしても「彼ら」を超えることはおろか、その演技を真似することすらもおそらくできないだろう。なぜならば、「彼ら」は今こうして「」を付される存在だからだ。
 『平成18年身体障害児・者実態調査結果』等によれば、日本における障害者の延べ人数は、724万人。これは現在の埼玉県の人口を上回る。しかし舞台上の「彼ら」はこの724万人の中で、いや埼玉県民の誰よりも強烈な存在を私たちに印象づける。
 連休最後の日曜日、私はJR土浦駅前にある茨城県南生涯学習センターの大ホールにいた。脳性マヒ、ポリオなどの重度障害者9名によって構成される演劇集団、「劇団態変」の公演がある。「マハラバ伝説」と題されたその劇の存在を知ったのは2009年4月24日の『茨城新聞』朝刊の「伝説の”障害者解放区”描く」という見出しの小さな囲み記事だった。

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779号の注目記事

■新川明インタビュー
 「日本国」から自立する思想
 聞き手・佐高 信

大江健三郎が「畏怖の思いをおこさせる」(『沖縄ノート』、一九七〇年)という沖縄の思想家、新川明。
「日本」を拒絶しながら「沖縄の在り方」を今も模索する新川に、佐高信・本誌編集委員が訊いた。

■米国環境医学会の提言から
 多くの実験が明らかにするGM食品の危険性
 天笠 啓祐

6月26日号「暮らしのニュース」で、
米国環境医学会(AAEM)が遺伝子組み換え(GM)食品の
モラトリアムを求めた件を紹介したところ、
「詳細が知りたい」との声が寄せられました。
というわけで、ご紹介いたしましょう。

■佐藤優の飛耳長目46
 地検特捜部の政治化が検察全体に危機を招く恐れ

■青木 茂 建築家
 「ハコモノ」行政の殻を破るリファイン建築
 山岡 淳一郎

スクラップ&ビルドをくり返し、建築を景気浮揚の具にしてきた日本の「ハコモノ」行政。そんな国是に強烈な「対案」を突きつける建築家がいる。建築を「社会的資産」として捉え、リファイン建築を実践する青木茂。既得権の壁を破り、持続可能、再生可能な社会に立ち返る道筋を照らしている。

■映画『ザ・コーヴ』が問いかけるもの
 ルイ・シホヨス監督に聞く
 つなぶち ようじ

10月17日~25日に開催された東京国際映画祭で、1編のドキュメンタリー映画が話題となった。和歌山県太地町のイルカ漁を取り上げた『ザ・コーヴ』だ。:イルカ漁に対する抗議の映画”という視点でばかりで取り上げられるが、監督が訴えたかったことはいったい何だったのか。監督自身に聞いた。

■産廃処分場計画に揺れる夕張
 模索が続く風評被害を出さないための論議
 平田 剛士

北海道・夕張市で、市内初の産廃処分場計画に賛否両論が渦巻いている。約二〇キロ離れた近隣の農民たちが反対の声を上げると、それまで計画を容認していた市長が方針転換。一方地元には、自分たちの農業系ゴミは地元で処分したいと語る農民もいるのだが。

■きんようぶんか
 廣瀬純の生の最小回路(11)

ワン プラス ワン(映像関係)
ゴダール/ダネー/ゴラン
『ゴダールの全映画』
『不屈の精神』

ジャン=リュック・ゴダールがアンヌ=マリ・ミエヴィルと共同監督した『こことよそ(ヒア&ゼア)』(一九七六年)には主として二つの賭け金があった。ひとつは“映像どうしを関係づけること”であり、もうひとつは“映像を返すこと”である。

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778号の注目記事

■生存のもやい直し 第3回 ノラ
 女性たちでつながっていきたい!
 西村 仁美

女性ホームレスたちが女性たちのつながりを求め、
布製の生理ナプキン「ノラ」を製作、販売している。毎週木曜日に
公園で開かれるおしゃべり会には、布ナプキンを作る人たちも集う。
どんな人たちが集い、また、ナプキンを作っているのだろうか。

■三島由紀夫と高橋和巳
 ――すべて二人に学んだ
 鈴木邦男

■政府に検証委設置求める
 未来のためにイラク戦争総括を
 高遠菜穂子

■子どもたちが生き物と戯れた
 「トトロの田んぼ」が消えた
 和泉 まどか

東京・北多摩地域に唯一残る営農田に異変が。
歴史と文化と生態系の宝庫である田んぼの存続のために立ち向かったのは、
この地で保育所を営む一人の人物だった。だが、東村山市行政は――。

■生きている戦前の治安立法「暴処法」の恐怖
 五人が起訴された法政大学を支配する異常事態
 本誌取材班

治安維持法と並び戦前猛威をふるった暴処法が現在も生きており、法政大学の学生に適用された。
その内容を知れば知るほど、廃案に追い込まれた共謀罪以上の恐ろしさが伝わってくる。

■永田町の歩き方
 関義友

国会議員と対話し、
私たちの要望を伝えるためには、
永田町をどう歩けばいいか?
ちょっとしたコツがわかれば、
より効果的なアプローチが可能になる。
永田町初心者のために紹介する。

■このままじゃ先生が死んでしまう
 わが町の小児科医を守った住民パワー
 樫田 秀樹

医療崩壊と言われて久しいが、医師と住民とが力を合わせて
地域医療を支えている町が日本にいくつかある。
兵庫県立柏原病院では医師の激務の背景にあるコンビニ受診を
控えるために冊子を作ったところ、患者数が激減した。

「市民運動案内板」の投稿についてのお願い

 1月15日号と1月22日号は、年内進行のため、2010年1月中に行なわれるイベントや集会は12月15日(火)までに投稿くださるようお願いいたします。

『さしすせその仕事 調味料職人の世界Vol.2』

好評既刊『さしすせその仕事』、5月に引き続き、冬の陣イベントを開催します。前回はみりんの試飲&みりん話が大好評!(前回の様子はこちら
今回はマヨネーズ、ケチャップ、ソースから、魚醤やオリーブ油まで、基本調味料ではない調味料を取り上げます。大阪の幻の地ソース「ヘルメスソース」で粉モンを味わいつつ、ちょいと珍しい調味料職人の世界にご案内します。
寒い冬、著者、木村聡氏のトークでお楽しみくださいな。

日時:12月19日(土)19:00~
場所:スローコメディファクトリー(京王井の頭線・小田急線下北沢駅)TEL 03-6751-3426
場所などは→http://slowcomedyfactory.oyucafe.net/
※会場での本書の割引販売あり。