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965号の注目記事

●特定秘密保護法案反対
一色に染まるスピードが速くなった社会の危険性
対談 森達也×田島泰彦

「国家機密」の範囲や内容を一部の為政者が一方的に決める「特定秘密保護法案」への反発が弱い。日本新聞協会の意見書も腰砕け状態だ。なぜこんな空気になっているのか。その背景と対策について、メディアの現状に詳しい二人が語り合う。

●当初予定を延期して、来月、北京で開催
南北関係悪化で、波乱含みの北朝鮮の投資説明会
金 承 在

五月末に制定した経済開発区法を進めるべく、北朝鮮は新たな行動に出た。
七月末に新設した国家経済開発委員会を対外的に紹介し、自国の多様な特区開発計画を説明するため、
北京で投資説明会を開催しようというのだ。計画通りに進めば、過去最大規模の説明会になるとみられるが……。

●TPP内部文書が示す驚愕の中身
著作権保護規定に盛り込まれたネット規制
横田 一

TPP交渉各国により「年内合意」が改めて確認された。現在、合意文書の草案二九章のうち一四章の条文が完成しているとされ、他章も大半の条文が完成しているという。本誌は条文素案の一部を入手。内部文書にはネットを政府統制するような条文が含まれていた。

●爆撃被害訴訟と被害者の今
中国・重慶の「半面美人」―癒えない傷
鈴木 賢士

●八重山教科書問題で繰り返される国の不当介入
「是正」されるべきは政府の対応
内原 英聡

●「育児は母親の仕事」意識が父親を苦しめる!
男性の育児休業取得を妨げる「パタハラ」
小林 美希

「育児は母親のするもの」という意識。それが妊娠した女性には「仕事を辞めろ」という「マタハラ」になり、男性には育休取得や育児短時間勤務を妨げる圧力「パタハラ」となる。非正規労働が増え共働きでないと家計が保てない家庭が多いなか、子どもを安心して育てるための環境づくりが必要だ。

●第24回
週刊金曜日ルポルタージュ大賞 佳作入選作
外食流民はクレームを叫ぶ大手外食産業お客様相談室実録
ガンガーラ田津美

第24回「週刊金曜日ルポルタージュ大賞」佳作入選作

外食流民はクレームを叫ぶ
大手外食産業お客様相談室実録

 ガンガーラ田津美

 四十二歳、既婚、一子あり、夫の国籍スリランカ。過去五年間、夫の収入はほぼゼロ。
生活のために、私は大手外食産業のお客様相談室に勤務している。時給一二〇〇円。各種手当てなし。五歳の子供を保育園に送った後、私は職場に向かう。そして、朝九時から夕方の六時、あるいは昼の十二時から夜八時まで、ヘッドセットをつけて電話を待つ。その内容は九割が苦情である。
私の仕事は、いわゆるクレーム担当者だ。
「今店行ったら、店員がいらっしゃいませも言わなかったぞ。おまえら、ふざけすぎだろ。食わないで店出てきたからな。チェーンがでっかいからって、つけあがってんじゃねえぞ。すぐ俺の家まで謝りに来い!」
「カレー弁当にスプーンがついてなかったわよ。どうやって食べろって言うのよ! 子供の運動会で食べようと思ったのに、食べられなかったじゃないの。運動会がぶちこわし。カレー代全額返金してよ」
「キムチチャーハンに髪の毛が入ってたけど? あり得なくない? あんな不潔なの食べられるわけないっしょ。どうしてくれるのよ」
「ゆで卵にひびがあります。不衛生です。御社の衛生管理はどうなっているのでしょうか。サルモネラ菌に私が感染したら、御社は全責任を負ってくれるのでしょうか?」
 日によって差があるが、私が一日に対応するクレーム数は二十本から二十五本。最初は、一本のクレーム対応を終えた後、次の電話を取るのに少々息継ぎの時間を必要としたが、五年間勤務した今では、電話を切ると同時に次のクレームを聞き始めている。
クレームからクレームへ、私の業務は人々の怒りと不満を延々と聞き続けることだ。
(さらに…)