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参議院特別委員会における戦争法案の「強行採決」に断固抗議する

本日9月17日夕方、戦争法案(安全保障関連法案)が参議院の「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」において、またもや強行採決された。2時間を予定していた締めくくり質疑を行なわずに強行された採決に委員会室は大荒れとなった。(鴻池祥肇委員長の声すら聞こえておらず、採決は無効との主張もある)

自公議員が参議院で多数を占めるなか、これは事実上の成立を意味する。衆議院の特別委員会に続く強行採決である。強行採決は多数決という暴力であり、民主制の濫用である。相手が納得するまで議論をし理解を促すことを旨とする民主主義の否定である。

しかしながら違憲の法案はいくら審議時間を積み上げたところで違憲であり、成立することは立憲主義政治の原理として許されない。まして「平和安全法制整備法案」は10本もの改正法を一括しており、審議時間も十分ではないのである。

市民の間でも「違憲法案」「憲法を守れ」という声が日増しに強まっていたのは、法案の理解が進んだからこそであることを政治家や官僚は誤読してはならない。

そもそも同法案は2014年7月1日の集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を前提としている。しかしながら日本国憲法9条は「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄」している。これまで歴代の内閣法制局長官も集団的自衛権の行使は不可能とする憲法解釈を繰り返し国会で答弁してきており、集団的自衛権の行使は明白に違憲である。

個々の法案の欠陥と矛盾を議論するまでもなく、7・1閣議決定に基づく今回の「戦争法案」はこのため違憲である。これは当たり前の論理であり、憲政の道理である。

本来ならば、すべての国会議員は「戦争法案」の成立を立憲主義国家として阻止しなければならない。法案の背景とされる国際安全保障環境の変化と立憲主義の問題はまったく別のものであり、同法案の根本的な問題は民主制の代表者も憲法に拘束される立憲主義の問題なのである。今回の強行採決は議会が立憲主義を否定する、天につばする行為であり、日本という国は人治主義、無法状態に入ってしまったと言える。

国家の基本法である憲法すら守れない、いやあえて守らない国はきわめて危険である。いまや社会は危機に瀕している。2006年の第1次安倍政権では教育基本法を改定したが、この間の国会答弁で露呈し続けた、自公政権の憲法無視、詭弁、不勉強、不誠実、不寛容というありとあらゆるデタラメさを子どもたちにどのように教えるのか。

私たちは沈黙の戦争協力者には絶対ならない。戦争への不服従を貫き、このようなインチキを支持することは決してしない。『週刊金曜日』は、根本的に破綻しているこの戦争法案の成立を徹底的に批判し続け、安倍政権から民主主義を取り戻していく。

2015年9月17日
『週刊金曜日』編集長
平井康嗣