緊急寄稿  編集委員七人が考える選挙の争点 国会前の怒りの声を聞け!

 首相官邸前。国会前。霞が関の官庁前。路上では、ひとびとが連日のように声をあげている。声はもはや原発再稼働反対にとどまらない。TPPなどいろいろな政治争点について、ひとびとは集まって声をあげる。そして解散する。また、集まる。 それが今年に入ってからの日常風景になった。 大きなきっかけとなった六月二九日金曜日の夜、私も路上に溢れて官邸へと歩き出す集団にいた。再稼働をした野田政権への怒りはなく、なにものかへの高揚や共感がそこにはあった。そもそも怒りとは自分の思い通りにならないときに湧いてくる。それゆえ怒りは自分への怒りでもあった。今の政治が私たちの声を反映する仕組みではなかったと確信した今、怒りは変質した。 選挙で勝てば政党や政治家がすべてのみそぎを終えてやりたい放題の特権が与えられる。そもそも私たちは民主主義をそう勘違いするように教え込まれていたが、その騙しこそが終わっている。もはや納得されえない。日本には第一党の与党は存在しえなくなっている。声に耳をふさぐ政治家は逆にもっと耳を澄まさなければならないはずだ。それは本来、後援会や財界の声でもない。経済成長をぶらさげるゴマカシももう通じない。 今週は一二月一六日の東京都知事選に出馬表明をしている宇都宮健児さん以外の編集委員七人に緊急寄稿をお願いした。本誌編集委員たちは情況をどのように考えているのか。興味深い。 3・11後、初めての国政選挙なのである。平井康嗣・本誌編集長

●民主主義を問い直す 3・11以降の実践に希望 雨宮処凛●アベくんが招く 最悪シナリオは想定している 石坂 啓●危険と矛盾への対処を 押しつけられてたまるか 落合恵子●CATで選ぼう 佐高 信●誰の名前を書くのか、 その人の品格が問われる 田中優子●政治改革のなれの果てに 中島岳志●悪の「本流」に より近いのはいったい誰か 本多勝一

  • 財務省主導の民自公大連立実現か  小谷 洋之 いま政党名を覚えても、それが投票日まであるかどうかわからないのが現状だ。生き残りを賭け、政党の離合集散が繰り返されるだろう。政策のすりあわせと数合わせが、現在も行なわれている。そしてそれは選挙後も続いて、憲法改定へとつながる民自公大連立政権が樹立する可能性も高い。
  • 「維新」橋下徹氏はナポレオンになるか  佐藤 優 総選挙後、時間をおかずに民主党が解党する可能性があると筆者は分析する。では注目すべき政党はどこか。安倍晋三総裁が率いる自民党なのか。それとも、石原慎太郎前都知事が代表になった日本維新の会なのか。選挙結果次第では、日本が帝国主義的傾向を一段と強めかねない。危険性はどこにあるのか。
  • 世界はネットで政治参加している  市川 裕康「アラブの春」や首相官邸前デモなど、インターネットの普及に伴うソーシャルメディアの活用が、民主主義の発露に果たす役割は今日とても大きい。米国や韓国など、選挙活動でも大きな影響を与えているソーシャルメディアだが、ネット選挙が解禁されていない日本では活用は難しいのか。
  • 国家と資本の奴隷から脱却せよ  白石 嘉治ネオリベラルな欲望、安倍晋三の欲望、竹中平蔵の欲望、橋下徹の欲望、原発の欲望、消費税の欲望、TPPの欲望……総選挙後に予想される国家と資本の強権の悪夢に、理性による批判は無力だ。かれらの欲望の奴隷となることを断ち切るには、みずからの欲望を生き直すしかない――。
  • 被災地が知らない「震災復興」の妨害 地元業者による県外業者排除の談合疑惑  成田 俊一 宮城県が発注した被災地の復旧・復興工事を受注した名古屋市の企業が、地元仙台の業者から組織的に資材供給を妨害されている実態が明らかになった。宮城県土木部も公正取引委員会東北事務所も調査に乗り出している。復興特需の裏で何が起きているのか。現地取材をした。
  • 国の認可ナシでも思川開発は国からの補助金を受給  まさのあつこ利水・治水という本来の機能ではなく、カネを引っ張る装置としてのみ期待されるダム。結果としての「水余り」││。栃木県の思川開発事業では、国の認可も、認可の前提となる水の利用計画等もないまま、国の補助金が給付され続けていることがわかった。
  • カネミ油症救済法 根治できないのなら「難病指定」を被害者を救済できるのか  明石 昇二郎発覚から四四年が経ち、ようやく総合的な救済法が成立したカネミ油症事件。しかし、次世代への影響が懸念され、真の「救済」になるか危ぶむ声もある。

購入

  • amazon
  • Fujisan
  • 楽天ブックス
  • セブンネットショッピング
  • 定期購読

ページトップに戻る