「慰安婦」日韓合意から2年
誰が解決を
妨げているのか
「慰安婦」日韓合意からまもなく2年。日本軍の性奴隷となった被害者を置き去りにした"政治的合意"は、むしろ真の解決を遠ざけている。この間の日本のマスコミ報道もまた、「少女像撤去」や「合意」を前提とし、「合意」を批判する多様な意見を伝えてこなかった。その結果、「合意行き詰まりの原因がもっぱら韓国側にある」という偏った見方が繰り返し報道されている。一方この間、今年6月には国立公文書館にあった「慰安婦」強制連行をめぐる資料について、政府が「ご指摘のような記述」があったと、紙智子参議院議員の質問主意書に対して認めた。7月には韓国ソウル市とソウル大学人権センターが米国立公文書記録管理局で、朝鮮人「慰安婦」を撮った動画を世界で初めて発見。さらに今回、ジャーナリスト・今田真人氏の調査で、「慰安婦」をめぐる生々しいやりとりを記した公文書12点が外務省のお膝元、外交史料館で新たに発見され、本特集で初めて紹介される。今月16日には国連人権理事会が日本に謝罪と補償を求める勧告を出し、世界各地で「少女像」の設置も相次ぐ。真の解決を妨げているのは、事実から目を背けようとする日本側の姿勢にあるのではないか。
- 安倍政権に迎合する
日本マスコミの「合意」報道を問う - 「政府答弁書」を引き出した紙智子参議院議員(共産党)に聞く
「強制連行と政府の指示は明らかです」女性たちを強制的に連行し「慰安婦」という名の性奴隷にしたことが明らかな文書の記述を「質問主意書」として政府に突きつけた紙智子参議院議員(日本共産党)。歴史的事実に目を背けようとする日本政府=安倍政権の姿勢を強く批判する。
- 世界初の朝鮮人「慰安婦」動画の発見
「動画」が彼女たちに息を吹き込んだ韓国・ソウル市とソウル大学人権センターは朝鮮人「慰安婦」を撮った動画を発掘し、7月5日に公開した。これまで朝鮮人「慰安婦」の存在を示す写真や証言はあったが、動画の発見は世界初。同センター記録物管理作業チームの康誠賢聖公会大学教授に、発見の意義について寄稿いただいた。
- 外務省と在中国日本領事館が生々しいやりとり
外交史料館から新たな「慰安婦」文書12点発見日本が中国侵略戦争を本格化した直後、1938年当時の「慰安婦」をめぐる外務省関連公文書12点が、同省の外交史料館(東京・麻布台)で新たに発見された。ジャーナリスト・今田真人氏の粘り強い調査で見つかったもので、「慰安婦」の移動や渡航などに関する軍と官憲の直接の関与を示す生々しいやりとりが記述されている。
- 世界各地に広がる「慰安婦」モニュメント
香港「そごう」前に新たに少女像日本軍の性奴隷とされた日本軍「慰安婦」の歴史的事実を後世に伝え、戦争と性暴力の人権侵害を繰り返すことのないよう祈念する「慰安婦」少女像。その設置は韓国をはじめ、米国、オーストラリア、ドイツなど世界各地に広がっているが、8月末には中国では3カ所目、香港有数の繁華街に設置された。
- ドキュメンタリー映画『沈黙――立ち上がる慰安婦』朴壽南監督に聞く
奪われし者の沈黙の深さは、文字での表現を遥かに超える半世紀の沈黙を破って立ち上がったハルモニたちを追ったドキュメンタリー映画『沈黙──立ち上がる慰安婦』。12月2日、東京・渋谷からスタートする全国順次公開を前に、監督の朴壽南さんに本作品にこめる思いなどを聞いた。
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