解決を阻むものは何か
歴史と日韓

 昨年10月に韓国の大法院(最高裁)が出した「徴用工判決」以来、韓国海軍による「レーダー照射問題」、日本による安全保障上の輸出管理における優遇対象からの韓国の除外、そして軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄と、日韓関係が悪化の一途をたどっている。

 日本が韓国向け輸出管理の運用見直しを発表した7月から、韓国では日本製品への不買運動が巻き起こり、影響は、単に貿易だけではなく、アパレルや観光、飲食などさまざまな業界に波及している。

 韓国現地メディアによると、アパレル業では、日本企業として知名度の高いユニクロでの今年7月のクレジットカードの利用者数が、昨年同月比で50%減と半減した。無印良品は同37%減だった。観光業では、韓国最大手の旅行会社ハナツアーとモドゥツアーの8月の日本旅行商品の売り上げが、昨年同月比でそれぞれ約8割も減少した。各航空会社でも日本行きの空路利用者が、7月以降、下降線をたどり続けているという。飲食業では、韓国で特に人気の日本ビールの打撃が大きく、韓国の日本産ビールの7月の輸入額は昨年同月比で約35%減り、前月比では約45%減少した。

 日本企業のみならず日本経済への悪影響も懸念されているが、日本政府は8月末に輸出優遇国除外の政令を施行。韓国政府も今月、日本を輸出優遇国から除外する予定であるとしており、解決の目処は立たない。

 しかし安倍晋三首相は、「(韓国に)国と国との約束を守るように求めていきたい」と「徴用工」問題について発言するなど、責任はあくまで韓国にあるとする立場を貫いている。日本政府は、強制動員された被害者である韓国の原告に勝訴判決が出たことを批判し続けているのだが、そもそも戦争における賠償問題がいまだに解決していないことの責任が日本にあることは明白だ。問題の根をたどり、解決の道を探るには、歴史の問題を見つめ直す以外にない。(編集部)

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