NHK番組改竄事件から20年
政治権力による
公共放送への介入
今から20年前の2001年1月30日、日本軍がアジア・太平洋戦争で犯した組織的な性暴力の問題を取り上げたNHKの番組が改竄され、放送された。
その4年後、『朝日新聞』は当事者の証言をもとに番組が政治介入による改竄だったことを大きく報道。番組を制作したNHK職員も内部告発の記者会見を開いた。放送前に介入した政治家として明らかになっているのは、安倍晋三氏らである。しかし、NHKはその後、『朝日』の「虚偽報道」と報じ、「政治的圧力で改変していない」と否定。「政治権力による公共放送への介入」の問題は、NHKと『朝日』の対立にすり替えられ、政治介入は不問にされた。
マスメディアの多くは、萎縮と権力への同調から、「慰安婦」にされた被害者の声を伝えること自体をやめていく。右派による「慰安婦」問題での『朝日』攻撃は勢いを増し、それが2014年の『朝日』記者・植村隆(現・本誌発行人)へのバッシングにもつながっていく。
私たちは、この「NHK番組改竄事件」に改めて光をあて、歴史修正主義者らによる「記憶の抹殺」をシリーズで追及する。「政治介入」を再び許さず、真のジャーナリズムを再構築するために。
- 「慰安婦」記憶をめぐる攻撃の広がり
「歴史修正」と迎合するメディア2001年1月30日にNHK教育テレビで放送された「ETV2001 シリーズ戦争をどう裁くか」の第2回、前年12月の「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」を取り上げた「問われる戦時性暴力」をめぐるNHK番組改竄事件。放映から4年後、内部告発により、この改竄が安倍晋三氏らの介入に端を発することが明らかになった。事件から20年、この事件が与えた影響と意味を報告する。
- 番組担当デスク長井暁氏に聞く
守り続けた番組作りの作法が音を立てて崩れる現場では当時何が起きていたのか。NHK番組改竄事件の当事者、担当デスクだった長井暁氏に聞いた。
◆[再現ドキュメント] 番組はこう改竄された
◆「慰安婦」問題とNHK番組改竄事件をめぐる主な動き
- 暴走する菅政権
コロナ「厳罰化」が感染を拡大する - コロナ禍での巨額の救済計画では早速与野党対立か
米国でバイデン新政権発足、国内外の亀裂修復が課題 - 第2期 金曜ジャーナリズム塾(第5講)
すんなり企画が通らないテーマこそ、深掘りして報道する価値がある - 土木学会手法の津波評価援用に説得力なし
福島原発集団訴訟、東京高裁が下したお粗末な判決 - 歓喜へのフーガ(9) 今回のお相手 フェデリコ・アゴスティーニさん(上)
ヴァイオリニスト、元イ・ムジチ合奏団コンサートマスター
ヴィヴァルディ「四季」人気の秘密は情景を思い描くたのしみ - 鴻巣市 福祉の錬金術疑惑・続報
地元の過半数反対で行き詰まり計画を取り下げ - 『金曜日』で逢いましょう
桐山愛音さん - メディアウオッチ
菅首相の施政方針演説を各紙が酷評
離婚後の親権と面会は複雑な問題 - 鈴木邦男 ハンセイの記(27)
半藤一利さんを悼む