3.11から10年〈見えない化〉に抗う第2回

東北電力女川と
東京電力柏崎刈羽
動き出すのか
東日本の原発

3.11から10年。その間、西日本の原発は再稼働をしたり、安全対策工事や司法判断で止まったりを繰り返していた。一方、東日本の原発は2012年5月半ばから1基も稼働していなかった。できなかった。しかし、それが10年を節目として変わろうとしている。たとえば東北電力女川原発2号機(宮城県石巻市、女川町)の再稼働。宮城県の村井嘉浩知事は2020年11月11日、再稼働に同意すると表明した記者会見でこう述べた。「原発がある以上、事故が起きる可能性は、私はあると思います。しかし、事故があったからダメだということであれば、すべての乗り物も、すべての食べものもですね、それによって事故が起こった過去経験があるでしょうから、それを否定することになってしまう」原発がある以上、事故が起きる可能性は、私はあると思います──。原子力災害時の避難道路の整備も十分ではなく、多くの住民に不安が広がっているにもかかわらず、どうすればこのような言葉を吐けるのだろうか。私たちは、深い危惧と心の底からの怒りを覚える。原子力規制委員会の新規制基準に適合した「東日本の原発」は、表のとおり、3カ所ある。今号では、そのなかで東北電力女川原発2号機と東京電力柏崎刈羽原発7号機をめぐる現状を報告する。

  • 宮城県内の約7割が反対でも女川原発に「立地自治体同意」
    「再稼働ありき」村井県知事を待ち受ける
    今秋の知事選

    渡部真

    東北電力・女川原発2号機の再稼働への動きが加速している。主導しているのは、中立を装いながら再稼働への流れをつくった村井嘉浩宮城県知事(60歳)だ。

  • 石垣のりこ参議院議員 (宮城選挙区)に聞く
    「再稼働は時期尚早、国会で追及する」
    渡部真
  • 新潟・柏崎刈羽原発で不祥事続発、慎重派学者を再任拒否した知事は?
    「年内再稼働」「白紙」に!
    追いつめられる東電

    本田雅和

    原発中枢部への資格偽装社員の不正入室、安全対策工事の未完了、対テロ核物質防護設備の損傷……新潟県の柏崎刈羽原発で今年に入り、運営する東京電力の不祥事と隠蔽が次々と発覚。東電は2月26日、原子力規制委員会に出していた「年内再稼働」の計画を「白紙」に戻す変更申請に追い込まれた。花角英世知事は有識者会議の慎重派学者を次々と切っていく姿勢を示すなど「前のめり」にみえていたが、事態の深刻化で、再稼働に期待をかけていた地元政財界幹部からも怒りや反発がうずまく。

  • 首相長男の官僚接待で露呈
    縁故主義と空疎だった省庁掌握
    永田政徳
  • 3月1日、子ども脱被ばく裁判判決
    国・福島県の責任認めず
    山下氏発言、一部は不適切
    佐藤和雄
  • 「安全宣伝」を担った山下俊一氏の謝罪 佐藤和雄
  • 在日韓国人文筆家・鄭敬謨さんが死去
    半世紀の「亡命」者が残した「統一への希望の『種』」 植村 隆
  • 在日スパイ捏造事件被害者の金勝孝さんが死去
    韓国、再審無罪でも取り戻せない被害者の人生 粟倉義勝
  • 2021年、新型コロナとどう闘うか シリーズ 医師に聞く(6)岡部信彦さん
    ワクチン接種は新型コロナ対策の一つのツール
  • 日本の民間信仰
    祀りをたずねて (11) 動物信仰 写真・文/山田しん
  • たとえば世界でいま
    米国/トランプ氏無罪も党内に溝 片瀬ケイ
    タイ/「不敬罪」で圧力強める政府 北方農夫人
  • メディアウオッチ
    接待問題、菅正剛氏はなぜ匿名扱いに? 臺 宏士
    嘘つき煽動者を壇上から降ろせ! 小池モナ
  • 鈴木邦男 ハンセイの記(30)最終回
    『朝日新聞』と赤報隊

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