3.11から10年〈見えない化〉に抗う 第6回
福島第一原発
被ばく労働
原子力発電は被ばく労働なしには成立しえない。被ばく線量の上限は、通常は1年間で50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルト、緊急時は作業の期間中100ミリシーベルトと定められていた。それが福島第一原発の事故直後は、特例措置として250ミリシーベルトまで引き上げられた。命を失う危険を冒して福島第一原発の廃炉作業にあたる労働者。廃炉まで100年かかるとの見方もあるなか、現場で働く人たちの生命と人権を守るためにはなにが必要とされているのか。さらには、白血病に苦しんできた1人の原発労働者がいま、再発の不安におびえながら法廷で闘い続けている。「被ばくによる健康被害の責任を問う」だけでなく、「このままでは廃炉作業の担い手さえもいなくなる」という公憤からだ。今号では、被ばく労働の可視化に迫る。
- 労災とは別枠組みの補償制度を
東京電力福島第一原発では、今も平日で1日約4000人の作業員が働いている。各地で真夏日が記録されるなか、現場ではすでに熱中症の作業員が出ており、作業によってはサマータイムが始まっている。今年は全国的に暑くなると予想されるため、作業員にとって厳しい夏になりそうだ。原発事故から10年が過ぎた。この間、作業員の労働環境はどう変わったのか。そして今も残る課題はなにか。
- データでみる福島第一原発の被ばく労働
100ミリシーベルト超が174人
がんによる労災認定は6人福島第一原発事故の収束のために一体、何人の作業員がどのくらいの放射線を浴びたのか。東京電力や厚生労働省などの資料から、データで再現する。
- 「だまって見ていられなかった」
あらかぶさんの人生「あらかぶさん」という愛称で呼ばれる一人の原発労働者がいる。「フクシマの惨状を遠くから眺めているだけでいいのか」と東京電力福島第一原発事故の収束作業に飛び込み、2年余りを経て白血病を発症。死の恐怖の中での闘病中にうつ病にもなった。二つの病気については、フクシマ事故後の収束・廃炉作業に従事した労働者として初の労災認定を受けたが、因果関係を認めようとしない東電などを相手に謝罪と補償を求めて東京地裁に提訴し、5年近くになる。彼の長くつらい裁判闘争を支えているものは何なのか――関係者の証言と訴訟資料からたどる。
- 「被ばく労働を考えるネットワーク」が訴えてきたこと
現在の廃炉ロードマップでは
被ばく労働者の犠牲は増すばかりです被ばく労働を最小化するためには、政府と東京電力の『福島第一原発1~4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ』は撤回すべきだ。国と東電が被ばく労働者に対して取るべき責任を具体的に指摘する。
COVID-19
新型コロナウイルス感染症
- コロナの現場で起きていることを看護師目線でお伝えします
東京の潜在看護師は約7万人。ワクチンの打ち手に活用してほしい
感染防御のため変わった生活スタイルがストレスフルな仕事の根幹をおびやかす
コロナ禍の中、看護師は医療の最前線で闘っている。新型コロナ患者の看護はもちろん、感染を防御する公衆衛生の担い手としての役割も期待されている。東京都看護協会会長の山元恵子さん、日本看護管理学会副理事長の秋山智弥さん、同理事の別府千恵さんに、コロナの現場で何が起き、どう対処しているかを聞いた。 - 菅ワクチン政局 ――〈上〉
紆余曲折の調達と副反応 接種後の死亡、重篤の救済を
高齢者のワクチン接種が、全自治体で7月末までに完了する見通しとなった。すでに64歳以下まで対象を拡大したが、副反応の救済は置き去りにされたままだ。菅政権は五輪開催に向け、このまま突っ走るつもりなのか。 - 菅不在で安倍・二階の闘争激化
「戦略的互恵」終わりの始まり - 「在日史学」のパイオニア、姜徳相氏を偲んで
関東大震災時の朝鮮人虐殺は「時務の歴史」 - 【提携連載企画】双葉病院置き去り事件01
原発作業員「逃げろ! ここはもう駄目だ」 - 新龍中国(33)
「コロナ対策の優等生」台湾の慢心と不安 - メディアウオッチ
五輪中止社説めぐり朝日デスク陣が大反対
立川・刺殺事件の実名報道こそ事件 - 劇団扉座40周年に新作をひっさげて
劇作家・横内謙介氏インタビュー - 【著者インタビュー】
『長東日誌 在日韓国人政治犯・李哲の獄中記』李哲氏に聞く