編集長コラム「金曜日から」 編集長のコラムを公開しています。

「『日の丸』だ、『君が代』だ」って押しつけるのは、お上の言うことは何でも聞けという権力的発想。こんな連中に本当の愛国心があるとは思えない。

 いつからこんな息苦しい国になってしまったんでしょう。卒業式、入学式には必ず「日の丸」を掲げよ、「君が代」を歌えなんて。そもそも、いまどき「愛国心」と言われても。大体、国家があるから国民なのか、その逆なのか、民族と国家の関係はーーなど、永田町でまじめに論議したことありますか? ないでしょうが。
 
 国家には「内から見た国家」と、「外から見た国家」があるというのは常識ですよね。でも、この国の外交を見ていると、「世界から見た日本」に思いをいたしているようには感じられない。何しろ、米国の顔色だけうかがっているんだから。そのくせ「内」の国民には「国家」を押しつけようとする。納得できっこないですよ。 

 国会議員にも文部科学省の官僚にも聞いてみたい。卒業式や入学式で、「日の丸」にお辞儀することの意味ってなんですか? 「君が代」を歌う意味って何ですか? きちんと答えられますか。「国旗だから」「国歌だから」なんてわけのわからない回答じゃだめですよ。

 ひねくれ者の小生としては、ついこんなことを考えてしまう。
「要するに管理したいんだろう。反体制とか反逆とかが許せなくて、無理矢理、お上の命令に従わせようとしているだけじゃないのか」

所詮、中身のない似非エリート主義ですね。「われわれは国を守る国会議員や官僚だ。国民は指示に従っていればいいんだ」みたいな。つまるところ、権力者が望むのは「右と言ったら右を向いてくれる国民」なんでしょう。まったく内実の伴わないエリートや権力者ほどたちの悪いものはない。

 はっきり言って、彼らが本当に国を愛しているとは、とても思えない。しかも困ったことに、そんな連中に限って「力」が大好きときている。まさか「富国強兵」なんて言い出さないでしょうね。くわばらくわばら。 (北村 肇)