「9・11」の“陰謀”から3年。米国がイラクで泥沼に陥るのは「因果応報」である
2004年9月10日9:00AM|カテゴリー:一筆不乱|北村 肇
風が吹けば、砂ぼこりが舞う。ほこりが目に入り、目を痛める人が増える。目をわずらった人は楽しみに三味線を弾くようになるので、三味線に使うネコの皮が必要になる。ネコが減りネズミが増える。ネズミは桶をかじるため、桶屋がもうかる。
初めて寄席で聞いたとき、いたく感心した。こども心に、「因果関係」の面白さ、奥の深さを感じ取りもした。
「9・11」があったから、イラクを侵略した。さてこの間に、どんな接ぎ穂があるのか。「9・11」はアルカイダの犯行。アルカイダはフセインと関係が深い。フセインは大量破壊兵器をもっている。フセインをたたけばテロを防げる。米国の解説はこんなところか。では、これを逆さにみると、どうなる。
イラクを支配下におき、石油利権を手にするにはフセインが邪魔。フセインを倒すには大義名分が必要。それにはアルカイダと結びつけるのが一番。そのための「事件」さえあれば…。
「9・11」から3年、多くの事実や真実が明らかになりつつある。少なくとも、「アルカイダとフセインとの親密な関係」がデマゴギーであったことは、確かなようだ。イラク侵略の狙いの一つが石油利権の確保だったのも、ほぼ間違いない。これらを含め、本誌今週号で、ブッシュの思惑がどこにあったのか詳細な特集を展開しているので、読んでいただきたい。
真珠湾攻撃を米国は事前に知っていた、という説が多くの研究者によって発表されている。ベトナム戦争勃発のきっかけとなったトンキン湾事件が「捏造」だったことも、歴史が証明しつつある。
そこで、もう一度、繰り返してみよう。イラクを支配下におき、石油利権を手にするにはフセインが邪魔。フセインを倒すには大義名分が必要。それにはアルカイダと結びつけるのが一番。そのための「事件」さえあれば…。
これを因果関係とは言わない。必然と偶然の交差点にある「運命」でもない。ずばり「陰謀」だ。そして米国がイラクで泥沼に陥る。こちらは「因果応報」である。(北村肇)