予言する。電通主導の万博は、来年の愛知万博も、将来、開催されるであろう全ての万博も成功しない。
2004年10月8日9:00AM|カテゴリー:一筆不乱|北村 肇
これまで見に行った万博が二つある。大阪万博とつくば科学博。前者は日本初ということもあり、大学一年のとき物珍しさに出掛けた。特に面白くもなかった。何しろ、米国館やソ連(当時)館などの人気パビリオンは長蛇の列で、二時間待ち、三時間待ちは当たり前。結局、太陽の塔だけ見て帰ってきたようなものだった。
つくば博とは、新聞記者として取材で一年近くつきあった。初めての科学博だったが、印象に残るのは「水増し騒ぎ」だ。とにかく観客が少なかったため、協会職員らが入場ゲートを行ったり来たりして、計測器にカウントされる数を増やしていたのだ。実は、私の同僚がつかんできた特ダネだった。このスクープがなければ、「水増し」は闇に葬られていたかもしれない。
あまりの不人気に自殺者も出た。会場内のレストランや売店は閑古鳥。借金で店舗を出したオーナーが命を絶つという悲劇だった。
パビリオンの目玉は、判で押したように「特殊映像」。といっても、それほどのものでもない。どこが「科学万博」かと、チャチャをいれたくなるような代物ばかり。特に業績の悪い企業のパビリオンは惨たんたるものだった。
当時も、電通の社員が運営の中心的存在だった。幹部の一人に、同じようなパビリオンでつまらないと言ったら、「ほとんど我が社が企画担当なので、しょうがないですね。一応、チームは分かれているけど、お互いに情報は入りますから。ただ請負額の高いところには優秀なチームを出していますよ」。
その日、前述の同僚に予言した。「今後、日本で万博が人気を集めることはない」。
今週号の本誌で取り上げた愛知万博も成功しない。「水増し」でもない限り、予言は的中するはずだ。(北村肇)