ブッシュの狙いは日本列島基地化だ。まさしく空爆なき侵略である。それを知ってブッシュ再選を願ったとしたら、小泉首相、あなたこそ非国民だ
2004年11月12日9:00AM|カテゴリー:一筆不乱|北村 肇
ブッシュ再選の一報が載った全国紙の片隅に、こんな関連記事があった。「3日のニューヨーク株式市場は、ブッシュ大統領の再選を好感し、急騰して始まった。……軍需、エネルギー、医薬品の各業界などに幅広く買い注文が広がった」。ベタ(一段見出し)扱いだが、大統領選の実相を如実に表している。ブッシュの勝利は、突き抜けた資本主義がもたらしたのである。
何が突き抜けたのか。冷戦崩壊後、米国は「慎み」も「憐憫の情」も、一切かなぐり捨ててきた。自国の経済的利益のためなら、他国や他民族を踏みにじっても、何ら痛みを感じない怪物に成り下がった。それを完成させたのがブッシュとその取り巻きである。
今回の大統領選はイラク戦争の是非が焦点になった。そのイラク侵略の根底に石油利権がからんでいたのは、いまや常識ですらある。ブッシュ陣営が躍起になってケリーを追い落としたのは、「国家として、大義ある戦争は避けられない」といった、それこそ大義を守るためではない。利権を失いたくなかっただけだ。そして、今後も「合法的」に他国から利権をもぎとりたいからだ。株式市場は、そんな連中の勝利を「好感」したのである。
ブッシュが大統領である限り、イランも中南米各国も、いつ攻撃対象になるかわからない。エネルギー資源を持つ国は、どこでもイラクになりうるのだ。
日本はどうか。石油も天然ガスもない。だが米国の狙いは別にある。ブッシュ政権がごり押ししてくるであろう米軍再編成の狙いは日本列島基地化だ。まさしく空爆なき侵略である。これは間違いなく米国の赤字解消につながり、ニューヨーク株式市場の株価も上がるだろう。
米国が、自衛隊のイラク参戦を強要し、憲法改定を求めているのは、自衛隊を米軍の補完勢力にしたいからにほかならない。そもそも、日米安保条約は、米国が日本を守るためにあるのではない。日本を米軍の手足にするための条約である。
そうしたことを知ってブッシュ再選を願ったとしたら、小泉首相、あなたこそ非国民だ。(北村肇)